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Accesses The Reality Cruelty
敗北

「く……」
 あのバルハルトが召還した無数のモンスターたちに、私たちは手こずっていた
平均の強さ的には、モンスターたちの方が上回っている
「シャドークローン」
 分身を7人ほど作りだし、続けて唱える
「スニーキング」
 私を含めた分身の姿は消え、隙のあるモンスターたちに襲いかかる
「……三千のモンスターを生み出す魔法なんて、聞いたこともないぞ……」
 そう愚痴を言いながらも、戦う


 馬の出せる最大速度で、私たちは東を目指す
「作戦を説明する!」
 と、コウタが叫んだ
「まず始めに、8000の軍を壊滅させる」
 無茶なことを言う……
「俺が2/3ほどを受け持つ。他は三人で頼む。魔法使いを最初に倒してくれれば、大打撃だ」
 そうして説明を聞いているうちに、遠くに米粒ほどの大きさの人たちが見えてきた
「いくぞ」


「っ……」
 拘束を抜けられず、俺はただ戦闘を眺めている
「く……そ……」
 バルハルトを見つけると、今まさに螢たちと戦闘中だった
「確かにあんなは強かったけど、魔王ほどじゃなかったのよ」
 ……負けた? 俺は、負けた?
「う……く……」
「このままじゃ、あんたたちは負ける」
 負けるわけにはいかないのに……
 負ければ、全てが無駄になる
「……あれは」
 と、レミリナが遠くの空を見上げた
50mもあろうかというほどの、赤い巨剣
 光蛇か……!
「もう、勝ち目はない」


「レーザー」
 地に立つ少女がそう言葉を言い放つと、私へ向かって無数の光線が放たれた
手を翳し、同じ魔法を唱えて相殺する
「……」
 神獣である私に対したった二人……それだけでは、勝てるはずもない
「……」
 どうやら、私の力を見誤っていたようだ
3000のモンスターを生み出したのが、余程予想外だったと見える
「そろそろ、終わりにしましょうか」
 そう考えた私は、左手を翳す
空の暗雲が渦巻き、轟きをあげる
「落雷を」
 そして、いくつもの落雷が降り注ぐ
ある落雷は軍に直撃し
ある落雷は何もないところに直撃し
ある落雷は二人の少女たちに直撃する
 さらに右手を振るうと、地の全てが炎に包まれる
すぐに鎮火するが、相手にかなりの打撃を与えたようだ
「む……」
 MPを少し使いすぎたようだ
だが、もう相手は壊滅気味だ
「残念でしたね、リョウスケ」
 もう勝敗は、決した


 俺たちがたどり着く頃には、すでに軍はほとんど壊滅していた
落雷が降り注ぎ、炎が地を這ったのだ
 残党をカグツチモードの巨剣で始末しながら、戦況を確認する
「……終わり、か」
 もう状況をひっくり返すのは、無理だろう
まさかバルハルトにこれほどの力があるなんてな……
「く……」
 リリィという少女とエミアという少女が、傷だらけになりながらもバルハルトを見上げていた
「負ける……わけには……」
 ……っ!?
リリィという子の顔を見て、驚愕する
 霊介の妹、螢に酷似していたのだ
「……」
 霊介のいた方を見ると、なぜかそこにいるレミリナ・アヴァンストリームにやられていた
「……」
 無駄だったわけだ
霊介の行動も、この戦いも
「クゥはどこだ……?」
 今ごろ気づき探すが、見つからない
いったいどこにいるのだろうか

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