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Accesses The Reality Cruelty
酒場
宿は簡単に見つかったが、俺は眠らずに外へ飛び出した
だって、宿を探す途中にいろんなところを見かけたんだ
せっかくRPGの中に来たんだ。そういうとこに行かなきゃ損だろ?
というわけで、一人で出てきた
「とは言ったものの」
さて、どこ行くか
 街は夜でも賑やかだから、とりあえず大半の所は営業していそうだ
「ま、酒場でも行くか」
なぜ酒場か。理由はいくつかある
武器屋、防具屋、雑貨屋など、RPG定番の場所はそこらにある
だが聞こう。そんなとこ行って楽しいか?
答えは否だ。目的があるならともかく、ないなら行く必要はまったくない
「……ちょっと待て」
俺は酒場へ向かう足を止めて、呟く
「通り行く無数の人々全員に名前があるんですけど。こういうのは鬱陶しすぎていらないんだけど。しかもそのせいで遠くが良く見えないし」
まったく……これだからクソゲーは……
と文句を言っていると、酒場に到着した
その扉を開け、中に入る
「おぉ、意外としっかりしてるなぁ」
中は普通のRPG風の良い酒場だった
床や壁は木で出来ており、無数の椅子や机には無数の人々が座っている
ある人は戦士。ある人は魔法使い。ある人は幽霊。みんながみんな、いろんな特徴を……
「ちょっと待て」
立ち止まり、言う
「なんで幽霊が普通に何匹も酒場でたむろしてんだよ。そういうのはモンスター扱いにしやがれ。どうしてこいつらみんな受け入れてんだよ……」
俺にしてはまともな意見だった
でもやっぱり俺は最後には
「ま、どーでもいいか」
と、なった
 とりあえずマスター(そういうキャラ名だった)にコーヒー(超砂糖多め)を注文して、カウンターの席へ腰をおろす
そして適当に酒場のふいんきに「これこそがRPGの酒場だ……」と言いながら納得していると、一匹の幽霊が話しかけてきた
同時にマスターからコーヒーも差し出される
「ねぇねぇ」
「ん?」
女の子だ。キャラ名と姿をチェックしておこう
キャラ名「リノ」。長い黒髪に赤い目、あと俺と同じような黒い服に、黒いマントを着た幽霊だ
そいつに俺は、言った
「服装パクんな」
美人と言うより、また美少女だ。まぁ、クゥよりは胸も身長もあるけど……幽霊だしなぁ
「いや、パクってないよ」
「あと浮くな。羨ましい」
「すいませんっと」
少女の幽霊は足を地につけた
俺は「で、なに?」とは聞かない
興味ないし
「はあ……」
代わりに、ため息を吐き出す
だってさぁ、最近は美人と会ってないし、女の子と会ったとしても背も胸も小さい子供だし
「まったく、やっぱりこれはクソゲーだな」
最近このセリフ、口癖になってきたな
「ねぇねぇ」
「そっすね」
「まだなにも言ってないよ」
「そっすね」
「話ぐらい……」
「そろそろ冷めたか、コーヒー」
「聞いて……」
「砂糖多っ! あと苦っ! やっぱ苦手なものは飲むもんじゃないな」
「おーい」
「しかも目、覚めたし。これじゃ宿戻っても寝れるかどうか……」
「……」
無視は俺の特権である
だが男ならともかく、幽霊と言えどこいつも美少女だ
話を聞くぐらいはいいだろう
「で、なに?」


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あきゅろす。
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