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Accesses The Reality Cruelty
脱獄

「……」
 13時。出発時刻だ
「結局、全然眠れなかったなぁ」
 そう言いながら、集合場所らしい街の入り口へ向かった

「遅いぞリョウスケ」
「悪い悪い」
 フェルに注意されながらも、合計8000人らしいものすごい数の人の合間をぬって前に進む
すると、先頭の螢たちが見えてきた
「あ、霊介! 来ないかと思ったよ」
「少し遅れただけだよ」
「うん。それじゃリリィ、行こう?」
「うん」
 と、エミアが大きく口を開く
「これから、バルハルトを倒しに出発する!」
 未だに降り止まない雨の中、雨音に負けずと叫ぶ
「ここから先は戦場! 恐れを抱く者は、死ぬことになる! 心に決意を固めた上で、ボクたちについてこい!」
 気合いの声が、あちらこちらから聞こえた
「行くぞぉ!」
「「「オォオオ!!」」」
 そのかけ声と共に、歩き出す
雨のせいで地面に多少、泥が付属してるから歩きにくい
「テイル!」
 俺は空をゆっくり飛んでいた怪鳥を呼ぶ
「グオ?(なに?)」
「背中乗せてくれ」
「オー(えー)」
「頼むよ」
「グォウォオオ(しかたないな)」
「どうも」
 スプリング、と心の中で呟く
『認証しました。スキルを発動します』
高く跳び上がり、テイルの背中に着地。そのまま、湿った羽毛に座る
「寒い」
 下を見ると、8000の人々がどのようになっているかがわかる
縦のひし形のような形をして、俺のよく知っている黒装束の部隊は先頭の方に集中している
魔法使い系は中心部に多く存在し、左右には防御特化型戦士。後方には万能な魔法剣士系が揃ってるみたいだ
「……」
 今から俺たちは、バルハルトを殺しにいく
覚悟を、決めろ


 さきほどまで脱いでいた赤いローブをもう一度纏い、牢屋の外に出る
私が入っていた後ろの牢屋には看守の男が気絶している。鍵もうまく奪うことができた
もう手にも足にも枷はない。魔法も存分に使える
なのでナイトヴィジョンを使い、コウタとみんなを解放する
 ルーとセイスを起こし、一息ついた
「ありがと、二人とも」
「ありがとうございました」
 ルーとセイスが、お礼を言う
「あ、あぁ。俺は何も……何もしてないよ」
「ど、どういたしまして……」
 どうしても声が上擦ってしまう
「それにしても、よく鍵を手に入れられましたね。いったいどんな手を使ったんです?」
「っ!?」
「聞くなセイス。空気読め」
 コウタが今までにないくらい真剣な声でそう言った
「……ねぇノア」
 と、ルーがひそひそと声をかけてきた
「……なに?」
「いったいなにしたの?」
「っ…………誰にも、言わない?」
「うん」
「……」
 私が小声で説明してあげると、激しく赤面したあとコウタに目を向けた。しかしなにを言っていいのやらわからないようで、迷ったようだ
 結局気絶した看守に寄って、その腹を思い切り蹴りつけた
それを見たコウタは、苦笑を浮かべる
「早く、行こう」
 お色気作戦だったとは死んでもリョウスケたちには言えない
早く忘れてしまいたかったので私は先頭を歩き、武器探しを開始した

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