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Accesses The Reality Cruelty
牢屋の中で

 ……寒い
冷たい床に肌が面していて、とても寒い
それに堅くて、居心地もわる……
「っ……!」
 と、私は目を開けた
さっきまでリョウスケと戦っていたはずなのだが、ここはどこだろう
 このままでは寒いので、立ち上がらずとも起きあがる
手を見ると、鉄の枷で両手を繋がれていた
 次に周りを確認する。明かりが極端に少ないが、ネクロマンサーには暗闇を見通すスキルがあるのでそれを使う
「ナイトヴィジョン」
 リョウスケの話によると、暗視という意味らしい
「……」
 スキルが発動しない
MPを確認するけど、MAXまで回復されていた
 ここがどこで、今がいつか。わからない
「気づいたか?」
 前の方から、声が聞こえた
「……コウタ?」
「あぁ」
 とりあえずコウタの方へ向かおうと立ち上がろうとするが、足枷が填められていたようで動けない
「無理に動かないほうがいい。それに進んだところで、鉄格子が待ってるから意味がない」
 理解、できた
ここは牢屋だ
「リョウスケは……?」
「……俺たちは、負けたんだ」
 その一言でも、質問の答えにはなっていた
「まだ俺とノアさんしか起きていないみたいだ。それに、看守も今はいない」
「今は?」
「さっきまでいたんだ。だが、昼飯を食べるとかで上に行った」
 なぜ交代制にしないんだろうと思ったが、口には出さない
「そいつの独り言によると、もう一度こちらに戻ってきてから、バルハルトを全員で倒しに行くみたいだ」
「っ!」
 リョウスケも……?
「……どうするの?」
 とは言っても、こんな状況では何もできない
「……魔法は使えるか?」
「使えない」
「だろうな……」
 そう言ってから、少し言い淀んだ
「……?」
「……作戦が、ないわけでもない」
「本当っ!?」
 自分がいつも出す声量の何倍もの声量を、発していた
いつもは呟くくらいの声量なのに、ここまで声が出せたのは自分でも意外だった
 そんな私の声を聞いて、さらにコウタは言い淀んだようだった
「あ、あぁ……あるんだが……あるんだけど……」
「……? どうしたの?」
「……ノアさんとルーさんとでは、どちらのほうがSTRが高い?」
「ルーのほうが、高い」
 私は完全な魔法使い系だけど、ルーは魔法剣士系だ。Lvに差があっても負けるのは普通
「大声を出す以外の方法で、起こせるか?」
「……無理」
「だよな……」
 いったいさっきからどうしたと言うんだろう
「どんな作戦なの?」
「……非常に言いにくいことなんだが……」
「どんなことでも、リョウスケを救うためなら、やる」
「……その決意は嬉しいんだが……」
 ……何を言い淀んでいるのか、次第に気になってきた
「……ノアさんには、相手を気絶させられるテクニックはあるか?」
「リノに、教えて貰ったことがある」
「……でも、なぁ」
「……早く教えて」
 と、そう言った頃に遠くの方から足音が聞こえてくるのがわかった
「コウタ、早く」
「…………俺を恨まないでくれよ」
「うん。わかってる」
「……その作戦というのは……」
 私はその作戦というものを聞いて、さっきまでの決意が揺らぐほど動揺してしまった
そして作戦を伝え終わったほどのころ、看守らしき男が入ってきたのがわかる
 ……凄くやりたくないけど、やるしかない

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あきゅろす。
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