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Accesses The Reality Cruelty
『最強』
 トドメとしてそのまま地面に叩きつけて、勝負は終了した
「容赦ないな……お前」
「……うん。さすがに女の子相手に天井から叩きつけたのは悪いと思ってる。受け身すら取らせなかったし……」
「……まぁいい」
 と、フェルは黒装束に付いた汚れを手で払う
「お前、意外と強いじゃないか」
「そりゃどうも」
 ……当初の目的を忘れた。なんだっけ。まぁどうせやることもないし、出発時刻までなにしてようかな……と考えた、その時
「リョウスケ〜」
「ん?」
 後ろの方から、声がした
「エミア?」
「やっほー……って、あれ? フェル。二人ともここでなにしてたの〜?」
「ウォーミングアップです」
「熱心だね。……それより、そろそろ敬語はやめてくれないかな。年上に敬語で話されるとなんだか変な感じがする」
「いえ、ギルドの上下関係はしっかりしないといけませんから」
「そう……」
 ……暇だな
「今日の13時に出発するから、覚悟しておいてね二人とも」
 と、俺はそこで当初の目的を思い出した
「そーいや、バルハルトってどんくらい強いの?」
「知らん」
「わかんないんだよねこれが」
「……は?」
「魔法の扱いにかけては、最強の領域とでも言うべきところまで到達してるらしいけど……詳しくは知らない」
 は? なに? 最強の領域? ふざけてんの?
「でも神獣って言われるくらいなんだから、あり得ないくらい強いと思うよ」
 あり得ないくらい……ねぇ
「魔神クラスか?」
「……? 魔神?」
 あれ? あの無駄にデカイ巨鳥、大陸中央のエノリークとかいう城だか街だかで派手に出現してたからみんな知ってると思ってたけど、案外伝わってないのな
「知らないならいーや」
「とは言っても、どんなに強くてもさすがに《南の魔王》には劣ると思うよ」
「ナニソレ」
 思わず片言になった
「魔王が東西南北それぞれにいるというのは、知ってるよね」
「知らん」
「……えーっと、いるんだよ。そうなんだよ」
「へー」
「……うん。《北の魔王》は『暴走』を。《東の魔王》は『超速』を。《西の魔王》は『剛力』を象徴してるらしいよ」
「ふむ」
「そして最後に……《南の魔王》は、『最強』を象徴しているの」
 サイキョウねぇ……
「そっすか」
「う、うん」
 さて……時間までどうしようかな……
「私は休みます。今から13時まで無駄な力を使わず、バルハルトとの勝負で全力を尽くします」
「んじゃ俺は寝る」
「ボクはリリィと会ってくるよ」
 それぞれがそれぞれのことをすることになり、午前はそうして時間を潰した
……出発の時刻まで、あと30分

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