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Accesses The Reality Cruelty
バージョンアップモード
頭が冷え、痛いほどに冴えていく
「タイムロック」『認証しました。スキルを発動します』
 時間が止まると同時に、俺は目の前のクナイを歯で挟んでもぎ取る
時間が、元に戻る
「ホーミング、Verソードトライアル」『認証しました。スキルを二次解放します』
 歯で掴んだクナイを適当に放ると、それはフェルの顔へ一直線に飛んでいった
「っ!」
 その隙にフェルから離れ、立ち上がる
これは、スキルの二次解放というものだ
 最近気づいたのだが、プログラムからスキルを作っているとき、『二次効果』『三次効果』という項目があった
なんと基である一次効果と、二次効果と三次効果のそれぞれは同時発動が可能なのである
 たとえば、このホーミングというスキルは銃弾を100発100中にするものだ
二次解放をすると、銃弾以外も100発100中になる。とまぁそういうことだ
 ただ、これにもデメリットはある
解放すると疲労しやすくなるし、あまりに急なスキル変動は行えない
 つまり、ホーミングにグレネードを合体させるということはできない。だがホーミングの性能を多少上げたり変えたりはできる
 そういうことだ
まぁ……バージョンアップモードとでも名付けよう
「ここからは本気だ」
「……なら私も、本気でいこう」
と、周囲にさっきの倍の数の分身が出現する
「ショットシェル、Verソードトライアル」『認証しました。スキルを二次解放します』
 俺は両手の小刀の柄同士をくっつけて、構える
それを回転させながら振り下ろすと円形の衝撃波が発生した
 さらにそれは0.7倍ほどの大きさになっていくつにも散らばった
それを周囲に二回繰り返した頃、俺は後ろに二歩下がる
 すると俺の元いた位置を空中から落ちてきたフェルの本体が斬り裂いていた
「どうやって避け……」
「勘だよ」
 コールネスは健在だ
「ホーミング」『認証しました。スキルを発動します』
 もう二次解放済みなので、無駄に言う必要はない
さっきと同じ円形の衝撃波を繰り出すと、フェルは避けようとする
「100発100中だよ。無駄だって」
 しかし避けた先へと衝撃波が移動してフェルを斬り裂く
いっきにHPを二割ほど削った
「スニーキング」
 とフェルが呟くと、その姿が消え始めた
「へえ」
 俺は小刀を二本に戻し、構え直す
「コールネス発動中はなにをしても無駄……あ、あれ?」
 コールネスが……打ち消されている?
コールネスはいわゆる補助魔法に入る。超冷静になる、という状態異状を自分にかけるのだが……
「まさか……」
 ドラ○ンクエストの、いてつく波動的な何かをされたのか……?
と思った矢先に、右腕に痛みが走る
「っ!」
 斬られていた
「まずいな……」
 ……そうか
戦い慣れてるんだ。俺と違って
 いくら師匠相手に戦っていたとしても、それは命の危険のない勝負だ
 この世界での経験も浅い
光蛇もLvは高くても、戦闘経験はなかった
ルーちゃんは訓練にでも励んでいて実戦経験が欠如していたのだろう
クゥはずっと戦ってきたんだろうけど、年齢やLv的な強さが欠けていた
ノアはそもそもほぼ魔法使い系だ。近接戦闘の心得がないのも当然
 師匠と戦ったときも……そうだ
技術が人一倍もの凄くとも、命をかけた実戦慣れはしていなかった
「……こりゃまずいな」
 もしかすればこれは、自然発動的なコールネスに近いのかもしれない
光蛇よりLvが低いのに、俺が手こずっている事実的にそう考えつく
「……」
 きっとコールネスを発動すればまた打ち消される
こうなれば……
「……」
 やるしか、ない
師匠のように……俺は……

フェルの技術を、奪ってやる


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