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Accesses The Reality Cruelty
新たな街へ
あの戦士の男(名前こいつだけ知らん)とセイスとメイちゃんは、俺が光蛇を説得して、逃がしてあげた
少し面白い奴らだったし、クゥにもお願いして罰も免除した
ただひとつの条件として「もうクゥに手を出すな」というのを出した
そして三人で旅立ってから、二日目の夜
ついに草原の奥の方に、街が見え始めてきていた

黒い服、黒いズボン、黒い眼、黒い髪
俺はそんな姿をしているから、姿は闇に溶け込んでよくわからないと思われる
次に、鉄の軽鎧(兜なし)、黒髪黒目。背中には、はがねの剣
俺の友達、光蛇
軽鎧は本当に軽いらしく、なかなか素早い動きもできるし、着ていてもほとんど疲れないらしい
そして最後に……長く綺麗な茶髪に、輝く大きな黄緑色の瞳。茶色いボロマントに身を包んでいて、キツネの耳とキツネの尻尾が生えている
モンスターウィザードの少女だ
それがいまの俺達のパーティだった

「もう少しで街に着くぞ」
遠くを見つめながら、光蛇が言った
「そうですね」
クゥもそれに同意し、黙々と歩いている
しかし俺は……
「ちょっと待て」
二人を引き留めた
「……なんだ?」
ひどくめんどくさそうな気持ちを目に込めたような視線を、光蛇は送ってくる
当然そんなものスルーして、俺は言った
「なぜここまで来るのに、まったくモンスターと出会わなかったんだ」
「そりゃ、モンスターのいない区域を比較的選んで進んできたからな」
「だーかーら」
俺は机を叩くように手を振る
「おかしいだろ。どんなRPGでも街と村の間とかには必ずモンスターが出てきて、必ず戦うもんだろ? どんなに頑張ったって、普通はモンスターと出会わずにここまで来るのはRPGなら絶対不可能なの」
「?」
クゥだけがゆういつ、わけのわからなそうな顔をしていた
「それにお前はともかくとしても、クゥや俺はまだ弱いんだよ。普通はモンスターと戦うルートを選ぶべきだろうが」
「でも確かリョウスケさんって、Lv気分でしたよね?」
ちなみにクゥにも職業バカのことは旅の途中で話した
「弱い敵に勝てば、気分的にはもっと強い敵も大丈夫かなって思えるようになるじゃん」
「……確かにそうですね」
だろ? と俺はクゥと納得し合って、光蛇を見た
「まあ……それは俺の不注意だった。だが仮にモンスターのいるルートを選んだとしたら、夜はどうするんだ? 夜に襲われれば元も子もないだろう」
「すまない興味がないんでね」
ちなみにこのパーティのリーダーは光蛇だ。前衛の突撃兵係が俺。後衛の支援係がクゥだ
「いま非難してもしかたないですよ。また次に生かしましょう」
「そうそう、落ち込むなって」
「落ち込んでないけど、とりあえずありがとな」

「あぁ、そーいえば」
俺は街の直前で思い出したように言った
「クゥ。耳は頑張ればだませると思うけど、さすがに尻尾は無理だ。どうにかして隠せないかー」
「あ、はい。そうですね。隠します」
そう言うとクゥはウィンドウから服や髪の薄い茶色と同じ色のボロボロなとんがり帽子を取り出して、被る
尻尾はマントの中に丸めて隠したようだ
「それじゃまずは、宿を探すか」
この世界に来てからというものの、村などの拠点ではそこしか行ってないな
明日の朝は、どこか他も見て回ろうかね
そう考えつつも、俺は光蛇の言うとおりに街へ入って周りの宿を探した

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