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Accesses The Reality Cruelty
雨の日

「……雨、か」
 運命の日。その日の空は薄暗く、大雨とも小雨とも言えない雨が降り注いでいた
「……」
 もう迷いはない。そのつもりだ
ただいくつか問題があるとすれば……
「今日はDEが、使えない」
 アイテムウィンドウから道具詳細が見れるのだが、DEは水で濡れている間は使用不可能っぽい
現実でも弾丸の火薬が濡れると不発らしいし……ここまでリアルにしなくていいのに
「……困ったな」
 それだけではない
確かに一撃必殺武器DEは強力だけど、どうせボスモンのバルハルトには通じない
 問題があるとすれば、雨自体
雨のせいで視界が制限される可能性があるし、地面が滑って滑ったりもする
 つまりは、相手をうまく認識しにくいし、劇的な移動などがしにくい
さらに言うならば、体が冷えて動きに多少の異常がきたす、とか
 つまり何が言いたいのかというと
「こんなんで、神獣とか呼ばれるバルハルトに勝てるのか……?」
 確かにこっちは数千人規模で相手するんだけど
相手は神獣とさえ称される存在だ。油断はできない
相手の力量を見定めず戦うのは自殺行為に等しい、ってルーちゃんも……いや、かつての仲間も言ってたし
 俺にはもう、あいつらの名前を呼ぶ権利なんてない
 とりあえずは
「出撃前に、フェルにいろいろ聞いとくかー……」
 螢とはこういうことをあまり話したくない
 エミアは正直、頼りにならない
となれば消去法でフェルしかいない
 というわけでDEをホルスターから外して、少しでも先頭の時に速く動けるように重さの関係しないアイテムウィンドウに納めてから、フェルがいると思われしギルド本部の洞窟内にあるらしい食堂へ向かう
 この時間なら大体の団員は朝食中らしいが……俺は食べない
とにかくそこに向かった

「今日は最悪な天候の日だな」
 話しかけて早々、そう言われた
「そーだな。おはよう」
「……お前」
「ん?」
「いっつも同じ服装だな。単なる日常に戦闘服を着るなんて、よっぽどの物好きくらいだぞ」
「あー、うん。これ以外着るものなんて一着しかないしな」
 初期装備並みの力を持つ、今は使ってない装備だ
 しかもデザインは現在装備中のこれとほぼ同じ
ちなみにフェルは、昨日着てた服とも黒装束とも違うのを着てる
「第一、どうしてそんな地味な色合いを選んだんだ」
「やっぱ地味?」
「逆に目立つな」
「それは困ったな……」
「……まぁお前が派手な服を着ても似合わないと思うが」
「同感」
「なんで地味な服しか着ないんだ?」
「昔、男好きのストーカーに追い回されましてね。あの頃から目立つ服は着ないように心がけてる」
「ま、結構可愛い顔してるしな」
「それは誉め言葉なのか?」
「そうだ、喜べ」
「そりゃ無理だ」
「どうして」
 さぞ楽しそうな顔でそう言うもんだから、皮肉だとわかる
……少しお返ししてやるか
「お前も結構可愛いぞ」
「……はぃ?」
「さぞ可愛らしいことで」
 もちろん冗談である
「ばっ……な……お、おま……」
 ……マズかったみたいだ
もうめんどいしこのまま本題に入るか
「で、フェル。聞きたいほしいことがあるんだが」
 バルハルトについて教えてくれないか
そう言う前に、なぜか顔に回し蹴りが入ってきて、机に突っ込んでドガッシャーン
不意うち過ぎて受け身すら取れてない。はっきり言ってかなり痛いです
「お、表に出ろ! フルボッコにしてやる!」
 なんでやねん
そう思う頃には襟首を掴まれて引きずられていた

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