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Accesses The Reality Cruelty

「……お前」
 酒場を出てすぐ、長い赤髪の女の子と鉢合わせする……
目は黄色寄りの黄緑色と言ったところで、服装は白色が所々に見られる藍色の服とスカートだ
「……えーっと」
「お前、ちょっとこっちに来い」
 と、なぜか見知らぬ女にお前呼ばわりされた挙げ句、暗い路地に連れ込まれた
「ちょ……誰だよ……!」
 どうして俺はこう……美女系ではなく美少女系に出会うことが多々あるのだろう。反対になってほしい
「頭の上を見ればわかるだろ」
「いやいや、ここ暗くて見えねーよ」
 もうとっくに夜だ。それにここ路地
「……フェル・ノルスフルート」
「……え?」
「フェル!ノルスフルート!」
「……えぇ? フェルぅ?」
 信じられんわ、まったく
黒装束姿しか見たことなかったので、受け入れにくかった
しかも……フェルだろ? あのフェルがこんなに可愛いわけがない
「意外そうな顔をするな!」
「いだっ!」
 足を全力で踏みつけられた
「ところでお前、あれはどういうことだ」
「……あれ?」
「バルハルトの子は、嘘だ……って」
「……言葉通りの意味だよ」
「違うだろ。あのクゥというやつは、確実にバルハルトの子だった」
「……なに言ってるんだよ。そんなはず「そうやって、あのお前の仲間たちも裏切ったのか?」」
「……違う。あいつらは仲間なんかじゃ「ふざけるなよ!」」
 と、フェルは俺の両肩を掴み、壁に押しつける
「きちんと、本当のことを言え!」
「……俺はあいつらを裏切った。そしてクゥの母親を殺しに行く。それだけ……だよ」
 しかたなくそう言って、肩を掴む手をどけようとしたが、その手は動かない
「どうしてお前は仲間を裏切った」
「……あいつらに嫌気が差したから」
「嘘だ」
「嘘じゃな「本当のことを言え!」」
 ……なんなんだよ、こいつは……
「……裏切らなきゃ、いけなかったんだ」
「どうして?」
「……神獣を倒してみたかったんだ。だから……」
「……」
 鋭い閃光のような瞳に見つめられて、言葉に詰まる
……そして、言ってしまう。俺は……俺が下した決断を……
「……リリィの……螢のために……俺は裏切った。友達を……親友を……なによりクゥを、裏切った」
「……螢?」
「俺の……妹だ」
「い……いもうと?」
「俺は大切な仲間と、たった一人の家族を秤にかけた。螢たちの恩人のお婆さんを見殺しにするか……クゥの母親を、殺すか」
 涙を流すことはゆるされない。それが許されるのは、クゥと螢だけだ
 だから俺はフェルの瞳をにらみつけるようにして……その瞳に映る自分を睨みつけるようにして、言い放つ
「そして俺は、螢を選んだ。クゥの母親を殺すと決断した。それだけだよ」
「……お前は」
「もういいだろ? 手を離してくれよ」
「お前は……本当にそれでいいのか?」
「……あぁ」
「本当に、か?」
「あぁ」
「そんなに苦しそうなのに、それでよかったって言えるのか?」
「……だったら」
 俺は逆にフェルの両肩を掴み返し壁に押しつけた
「だったら! 他にどんな選択肢があったって言うんだよ!」
「……っ!」
「……ぁ」
 俺は手を離し、頭を下げる
「……悪かった。八つ当たりなんてして……」
 バルハルトを殺すしかないんだ
そうしなきゃ……それがなければ、螢の恩人の病は治らないのだから
「……こちらこそ、悪かった」
 と、フェルは俺に背を向けた
「けど……後悔はするなよ」
「……するよ、絶対に」
 後悔しかない。こんなもの
こんな選択を迫られるのなんて、初めてだ
「……奢りは、なしでいい」
「そうかいそりゃよかった」
「……じゃあな」
「また明日」
 ……さて、魚を買いに行かないとな

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あきゅろす。
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