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Accesses The Reality Cruelty
落とし穴
 今回は霊介を追うことが目的であり、奥に行くことが目的じゃない
だから俺は聞く
「ノアさん、霊介はどっちだ」
 初めの分かれ道で、聞く
「こっち」
 と、選んだのは正解の道だった
次の分かれ道でも正解の道を。次の分かれ道でも正解を
……しかし4つ目の分かれ道で
「……こっち」
 ハズレを選んだ
「ここでいいのか?」
「うん」
 言われた通りの道を進む
「……ねぇ」
 と、そんなとき。ルーさんが俺に静かに話しかけてきた
「なんだ」
意識して、俺もなるべく声を小さくして答える
「リョウスケのことに心当たりがあるって言ってたけど……どういうことなの」
 ……どうするべきだろう
言ってもいいのだろうか
「……」
 ……こんな真剣な目で訴えられたなら、答えないわけにはいかないな
「あいつは、魔王なんだよ」
「ま、魔王?」
「干渉を受けたらしい」
「あ、え、……えっと、ごめん。そんなに魔王について詳しくないから」
「……」
 口づけ=干渉だということは言わない方がいいだろうな
「……魔王、か……」
 譫言のように呟いて、俺から離れていく
と、そのとき
「っ! さがって!」
珍しくノアさんが、叫んだ
 時すでに遅しとはこういうときに使う言葉だろう
 ……いきなり地面に穴が開いた
いや、正直に言おう。落とし穴にはまった
 直径20mくらいあるな……
「落ち……!?」
 ルーさんがそう言い出す頃には、とっくに落ち始めていた

 俺は即座に背中の剣を抜き放ち、横の石壁へと思い切り突きつける
マンガなどならここで、ガリガリガリなどと言って落下速度が落ちていくはずだが……
「っ!?」
突きつけてすぐに、剣を引き抜く
 いや……なにこれ。ずっと突きつけておくためにはすごい腕力が必要だぞ……
「うぉぁあああああああ!!」
「く……ぁああああああ!!」
「きゃああああああああ!!」
「っ!!!!」
 俺を含み一人を除いたたくさんの叫びを聞きながら、俺は落ちていった

「ぐ……」
 気づけば地面にたたきつけられていた
周りには、ルーさんたちも倒れていた
「ここ、は……」
 立ち上がり、見渡す
……まだここも洞窟だ
「大丈夫か?」
 うめき声をあげていた3人に近づいて、声をかける
 俺もHPを確認すると、残り3割というところまで減少していた
「ほら」
 俺はアイテム覧から回復瓶を取り出して3人に配り、俺もそれを飲み干す
 ……なんだこれは
苦くはない。しょっぱくて、すっぱくて、おでんの汁のような味が……とにかく、超が付くほどまずかった
 これは蒼都から貰っておいたもので、HPが全回復する。まだ6個ほど余っているが、今はもう必要ない
「ありがとうございます」
 セイスを筆頭に、二人も立ち上がる
「……近い」
「どうした」
「すぐそこに、リョウスケがいる」
 と、ノアが指さしたその場所には
「グゥォオオオオオオオオ!!!」
「遅かったな、光蛇」
 巨大な怪鳥の上からこちらを見おろす、霊介の姿があった

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