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Accesses The Reality Cruelty

「おわびはいらないから、クゥを狙うな」
 ときどきはカッコいいセリフも言ってみようかと思い、キリッとした感じでそう言い放つ
「うわぁ……」
 と、エミアと呼ばれた少女が顔を赤くした
……え、なんかだめだった? これ
 ……うん、やめたほうがいいな。似合わないし
「あ、え、えーっと……クゥって言うのは、そのバルハルトの子?」
 そして慌ててそう言い返してきた
「そそ」
「うん。それならわかってるよ。もう狙わない」
「そりゃよかった」
「……」
 なんかエミア(もうめんどいから呼び捨て)がなにか期待するように俺を見てたけど、気のせいだ。そうに違いない
「やなぎ、りょうすけ」
 と、リリィと呼ばれていた俺の妹である螢に酷似していた少女が、俺の名を呟く
「ん」
 とりあえず返事しとくか
「……電車って、なんなの……?」
 ……? なんだ急に
「電車っていうのはたくさんの人たちを、まとめて運ぶ乗りも……の…………え?」
 ちょっと待て
どうしてこいつは、電車を知っている?
 あれはここの世界の乗り物じゃないだろう
それに、どうして電車なんだ
 こいつは、この妹に酷似している少女は……あのテロを知っているのか!?
………まさか……本当にこいつは……
「ほたる……なのか……?」
「あ……やっぱり……あなたは……」
 本当に?
本当に本当に本当に本当に本当に?
 螢(ほたる)……なのか!?
「君は!」
 気づけば間合いを詰めて、両肩に手を置いて目を覗き込んでいた
「本当に……本当に、ほたるなのか!?」
 聞いた
頷かれたなら、俺はどうすればいいのだろう
 こんな危険な世界に、世界にたった一人残った大切な家族を……
だが案の定、リリィという少女は首をふった
「わ、わからないの……」
「わからない……って……」
「わ、私は、記憶喪失で……だから……」
「きおく……そう、しつ」
 と、俺はその小さな両肩から手を離して、何歩か後ずさる
「……ごめん」
 それから肩を強く掴みすぎていたことや、急に近づいたことについて、謝る
「あ、いえ、だ、大丈夫だから」
 とは言っても、ショックは大きい
このリリィという少女がもし螢なのか、そうじゃないのか
 この曖昧さが、だめなんだ
なにをすればいいのか、わからない
光蛇たちの元に戻る? こんな半端な考えを持ちながら?
「……あの」
 と、リリィという少女が俺の思考を遮った
「私の話を、少し聞いてくれませんか?」

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あきゅろす。
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