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Accesses The Reality Cruelty
エミア副団長
「どーしたの? なにか、あったの?」
 幼さの残る高い声が、洞窟内に響き渡る
「リ……リリィ団長……」
 ……リリィ? 団長?
気づけば周りの黒装束は攻撃をやめていたが、そんなことに気を留めている暇は、俺にはなかった
「……ほ……た、る?」
青柳 螢。電車のテロのとき、全身粉砕骨折に逢い、外国の病院へ送られたはずの、俺の妹
 ……見間違い、か?
確かに、最後に見たときより背は伸びているようだし……まず第一に9歳に見えない。最後に見たのが8歳のときだから、いまは9歳のはず
しかも髪は赤がかかっており、目の色も黒ではなく純粋な青だ
 ……だが
童顔でまだかなり幼さが残ってる顔面は8歳の頃の螢と酷似していて、しかも声の質まで同じだ
「リリィ、どうしたのー? ……うん? あれ?」
 と、さらに奥の扉と思わしきものの中から、金髪碧眼少女が顔を出した
「エミア副団長……」
「なにしてるの、みんな」
 エミアと呼ばれた少女が、言う
「ぞ、賊の始末を……」
「それなら、ボクやリリィを起こしてくれてもよかったのに」
「も、申し訳ありません」
「まさか、一般人に危害は加えたりしてないよね? ボクたちはモンスターを退治するギルドであって、人を傷つけるようなギルドじゃないよ?」
「っ……」
 なんだ? よくわからんけど、仲間割れ?
「まだ眠いよぉ……」
「もう朝だよ。起きないと」
「うー……」
「リリィは、朝が弱いよね」
 と、エミアという少女がこちらに目を向けた
「見慣れない人がいるけど……」
「俺は青柳霊介。仲間を奪われたから、取り返しにきた」
「……やなぎ…………りょうすけ……?」
 リリィという螢に似た少女が、譫言のように呟く
「仲間を奪われた、かあ。フェル、いったいなにしてたの」
「こいつの仲間には、バルハルトの子供がいたんだ。人間とハーフの、半モンスターだ」
「なら、見逃していいじゃない」
「な……」
「ボクたちが欲しいのは、バルハルトの肝だよ。あれ以外には、今はなにも必要ない」
「……申し訳、ありません」
「それと……リョウスケくん、だっけ」
「うぁぅ!?」
「え? あぇ? えーっと……リョウスケ?」
「あい」
「申し訳なかったね。おわびをさせてくれないかな」

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あきゅろす。
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