Accesses The Reality Cruelty
コールネス
「よっと」
二本の小刀を抜き取り、両手に持つ
俺はその柄同士をくっつけて、繋げる
ひとつの、武器へと合体させる
それを右手に持ちながら、左手ではDEを構え、準備完了
「こんな組み合わせの武器を扱うのって、世界で俺だけじゃね?」
とまぁそんな場違いなことを言いながらも、俺は考える
この人数を相手に、どうするか
せめて1分は時間を稼ぎたいな。ノアのためにも
俺はまず手始めに、地面へ発砲
威嚇だ
で、一瞬でも怯んだうちに地面を蹴り出す
「囲め! 敵はたったひとりだ!」
とまぁ、そんなこと言ってる間に一人に右手の……なんて呼べばいい? この武器。えーっと……ツインブレイドと名付けよう。右手のツインで斬りつける
「フェイク」『認証しました。スキルを発動します』
と、俺は自分に迫っていたやつら全員を見渡す
「っ!」
そしてたった一瞬、その動きが止まった
その隙をついてさらにDEで発砲する
自作スキル『フェイク』は、非常にどうでもいい力だったけど、役にたった
これはまとめて作ったもののひとつじゃなくて、アーミーを去る何日か前に、葵から『ギアスみたいなの作ってみてよ!』と言われてしかたなく作ったものだ
効果は簡単。好きなように目の色と模様を変えられる。そんだけ
いや、相手に命令するみたいな細かい設定はめんどすぎたから……さ
まぁとにかく、この力で目を目立つ真っ赤にして隙を作ったわけだ
「遊びに作ったのに、まさか役に立つとは……」
と言いながらもさらに次のスキルを発動する
「タイムロック」『認証しました。スキルを発動します』
いままさに俺に襲いかかってきていた黒装束共を蹴り飛ばすと、時間が元に戻る
さて、そろそろハッタリで応戦するのはやめて、真剣に戦いますか
この自作スキルを使えば、師匠に教えられた戦い方を実践できるかもしれない
完全なる《柔》の戦い方を
「コールネス」『認証しました。スキルを発動します』
お前は、考えて戦うべきじゃない
感覚のままに。感じるままに
まるで風のように
自由に
信じればいい
自分を信じろ
自分の勘さえも、信じてみせろ
完全なる《柔》を求めるんだ
「……」
冷静になる
『コールネス』には、たったそれだけの力を備えている
「……」
考えるな、感じろ
目を細めて、神経をとぎすます
「なっ!?」
まず手始めに、真横から襲いかかる剣を『なんとなく』人差し指と中指で挟んで止める。別に止められると思ったわけじゃない。感じただけだ
次に、勘で後ろに発砲してみると、悲鳴が聞こえた
次に試しにしゃがんでみると、手裏剣が頭上を掠めた
次に目に写ったもの順にDEで発砲して、とりあえず右手のツインを振り返りざまに振ったところで
「うぉあ!」
と、目の前に槍の先端が迫っていることを認識してしまい、冷静さを失う
途端に周りからの集中攻撃を受けた
く、最悪のタイミングで効果切れたな『コールネス』
ちなみにこれ、使うと効果切れたときに頭が痛くなる
もう冷静な判断なんてできないと思う。つーか、もう時間稼ぎは十分だろ
さっさとレベルオプションAGI特化でも使って退散しますか
「レベルオプ……!」
……俺は、言い出した言葉を止めてしまう
『認証に失敗しました』などと無機質な女の声が聞こえるけど、いまはどうでもいい
この洞窟の奥にいたその人物に、俺の目は釘付けだった
その見つめていた小柄な少女が、眠そうに目を擦りながら言う
「どーしたの?」
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!