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Limitless Conflict
死にたかった
俺は、死にたかった。
 人を殺して……何人も殺し続けて……
死んで償えるなんて思ったことはない。ただ、のしかかる責任を抱えたくないだけなのだろう
 無責任。自己中。自分勝手。
だけど、俺に死ぬことはゆるされなかった
本能が、脳が、血が、それを拒否している
ナイフで手首を切断しようとしても、俺の血はそれをゆるさない。ナイフを折り捨ててしまう
高所落下も、駄目だった。飛び降りた瞬間、俺は無意識に自分の腹を思い切り殴りつけ、勢いで元の場所に戻らされた
他にもいろいろ、試した
 だけど、全てが失敗した。血が死を拒絶した
罪を認めろ、と。罰を受けろ、と……
 そうして今日まで生きてきた

俺は人助けのつもりで喧嘩ばかりしていたわけじゃない
この血に慣れるために、喧嘩ばかりしていたんだ
案の定、俺はある程度までは制御できるようになった

「救ったつもりなんか……ない」
蚊の鳴くような声で、俺は言った
「薄兎にそのつもりがなくても、救ってもらったのは事実だ」
「……どうして……どうして、俺に関わろうとする?」
「親友が、苦しんでいるから」
「……!!」
人殺しなんだぞ? お前も殺すかもしれないんだぞ? それに……俺と関わるだけで、お前の迷惑になるかもしれないんだぞ?
「僕の親友は、優しいんだ。みんなが不幸になるのが嫌なんだ。だから、人に関わらないように生きてきたんじゃないのか……?」
「……俺、は…………」
「もう、悩まないでくれよ。薄兎が苦しんでいるから、僕はそれを、助けたいだけなんだ」
 助け……る?
「やめ……」
やめろ、関わるな
そう言いたかった
だけど、こいつの……涼の、目を見ちゃったら……
決意が、見えてしまったなら……
 そんなこと、たったひとりの親友に言えるわけないだろ……!
苦しんでいた俺の、たったひとりの友達だった
たったひとつの、生きる楽しみだった
 そいつを助けたいと俺が思うように、こいつも俺を……助けたいんだなぁ……
「……ごめん……俺が、間違っていたのかもしれない」
目の前が、霞む。
……あぁ、そうか。俺は、泣いているのか……
あぁ……もう、ありがとうの一言も言えないや
ただの嗚咽だけだ
でも、それでも俺の言いたいことは伝わったようだった
「あぁ、こんなことしてやるのは『親友』として当然だ」

……あぁ……俺は……
 良い『親友』を、持ったなぁ……

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