[携帯モード] [URL送信]

Limitless Conflict
盗み聞き
僕の名前は如月涼
ただの健全な一般高校生だ
そして、ある日の……というか今日の昼休み中、僕は早くも飯を食べきり、いつものように窓から校庭近くにいる女の子の胸の部分を、望遠鏡を使って凝視していた頃……
あるイベントを目撃した
黒髪の少女ーー実は美少女に見間違えるくらいの容姿を持つだけの、本当は男の僕の友達ーーが、綺麗な超美少女といっしょに芝生に座って食事をしていたのだっっっっ!!
 くぅううう! なぜあいつだけそんな恋愛イベントに立ち会えているのだっ!
腹が立ってきたぞ。
というわけで、僕はその近くで会話を盗み聞きすることにした

とりあえず、すぐさま校庭に向かった僕は、二人の少し後ろ側にある木に隠れ、聞き耳を立てることにした
お、ここならよく聞こえるぞ

『その……とりあえず、謝っとく。ごめんね』
む……なんだ、この子は薄兎ーー黒髪の少年の名前ーーになにかしたのかな?
『……いや、いいよ。こっちも助かったし』
んん? 謝られてるのに助かったってどういうことだ?
隣の美少女さんも疑問に思ったみたいで、質問?していた
『……助かった? それってどういうこと……』
『い……いや、深い意味は……』
おぉ。薄兎がこんなに動揺するとは、いったいなんなんだ? すごく気になるな
薄兎は、逃げようとして腕を掴まれていた
 ……なんか羨ましい
『逃がさない』
『や……やめろ! そんなに強く掴まれると……』
……なんか、いいな〜
……直前まで、僕はそう思っていた
ーー薄兎の様子が一変するまではーー

薄兎から、すさまじい殺気が放たれたのがわかった
こんな、第六感なんて持つわけがないような普通の高校生にも、わかった
まさに、それだけで立ちすくんで動けなくなりそうなほどの、殺気
そして、薄兎は言いかけた
『……お前を、殺っーーー!!』

『ーーーっ!? 離せっ!』
一瞬で、殺気が消え失せた
 まるで本気で殺すつもりだったかのような言葉と殺気だった
なんなんだ……いまのは……
彼女も、それを問いていた
『……なに……いまのは』
しかし薄兎は答えない
……なんなんだ、お前はなにを抱えているんだ?
俺にだって、知る権利はあるはずだ
 ……いつのまにか、僕は真剣に事を考えてしまっていた
だって、そうだろ?
僕の……たった一人の大切な友達のことなんだから
だから僕は、足を踏み出す
知るということは、受け入れるか受け入れないかの選択を迫られるものだ。苦難を選ぶということだ
自ら知らないということを望むことは、逃げるということだ。楽を生きるということだ
だけど、僕は足を踏み出し、知ることを選んだ
大切な友達のことを、知りたかったから
僕にとってのヒーローの悩みを、いっしょに背負ってやりたかったから


そうして、僕の物語は始まったんだ
こんな小さな出来事が、始まりだった
これが僕の戦いの、序章だったんだ

[Before][Next]

4/11ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!