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Limitless Conflict
黒髪の少女
私は、気づけばいつも一人で居た
友達も作らず、授業にもあまり出ず、両親は1年以上海外旅行中
ずっと、一人だ
でも、寂しくなんかない
私は戦いが好きだ
この街には、秘密がある
戦いと血に塗れた、秘密が……

「ねぇ君」
と、そこで誰かが私に声を掛けてくる
私は今、校庭の芝生に倒れ込んでいた
その上体を起こし、声の主を見上げる
……乱れた服に、金髪にたばこ。よくいるような不良だ
それが、5人ほど並んで私を見下ろしていた
「……なに?」
なるべく敵意を見せるように、返事をしてみせる
しかしこいつらは気にせず続けた
「ちょっと金貸してくれないかな? これくらい」
と言って、一人の不良は指を三本立てる
三万円、という意味だろう
「……なんであなたたちにお金を貸さなきゃいけないの?」
「いいだろ? 別に」
……どうやらこいつらとは、言葉のキャッチボールは成り立たないようだ
それなら、実力で分からせるしかないみたい
そう思って立ち上がろうとした
 その時

「お前ら、なにやってるんだ?」

ある少女が、不良共の向こう側から現れた
150cmほどの身長。長く綺麗な黒髪。黒く大きく、光っているように見える瞳。そして真っ黒な服とズボン
誰だろうか。それより、こんな中に割って入って来るなんて、なにを考えているのだろう
「なんだてめえは?」
案の定、不良共はあちらの少女に反応した
「通りすがりの喧嘩好きです」
ふざけたように、少女は言う
「そうか、なら殴られても文句ねぇよな?」
「そうだね。殴るというなら、君も殴られても文句はないよね?」
って……大丈夫なのかな、あの子……
「上等だ! 後悔すんなよ」

しかし、私が見る光景には、予想をかなり上回る映像が映されていた

相手の拳を紙一重で右に避け、左手で相手の腕を掴む
瞬時に右腕の肘を構え、腕の一カ所に思い切り打ちつけた
「いたっ……」
しかしそれだけでは止まらない
そのまま目の前の男に抱きつくように近づき、右手で相手の後ろ側のベルトを掴む
そして彼女は、その姿勢のまま右足で相手の足をなぎ払った
ーーこれは確か、柔道の技だった記憶がある
相手の一人が倒れ、そのまま彼女はそいつの背中に腰を掛けた
そして、言う
「まだ、やる?」


「大丈夫?」
黒髪の少女が、私に手を差し伸べてくる
ちなみに、さっきの奴らはそのまま逃げていった
見かけ倒しで、実際は弱かったのだろう
「……大丈夫」
私はその手を取らず、払う
「手厳しいな……」
少女も、手を下ろす
「でもまあ……一応、ありがとう」
「どーいたしまして」
そう言うと、彼女は私の横に腰を下ろす
「……隣に座っていいなんて言ってないわよ」
きつく言ってやったのに、こいつは苦笑して、バカにしたように言う
「隣に座っちゃいけないなんて言われてないよ」
「……まあ、いいわ」


この些細な出来事が、これからの全ての始まりだった

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あきゅろす。
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