哀願。
「…親御さんは今仕事中かな…」
葛西は彼女を見つめた。
《かわいいな…。》
彼女の万引き現場を見た瞬間から悪魔が彼の耳元で囁き続けていた。
【コンナ チャンス ニドト…ナイ。】
「親にゎ言わないでくださいっ…」
泣き出してしまった少女を優しくなだめ、休憩室に招き入れると彼女に取った物を出させた。
どこに入れていたのか先程の菓子以外にも電池など多数出てきたため常習犯と判断する。
仕事をしなければ。
オーナーに連絡しようと受話器を掴む手を細い手が掴んだ。
「ごめんなさぃ…もう絶対しません…だから…助けてくださぃ…」
押し倒したい気持ちを落ち着かせながら今までに何回万引きしたのか他に取ったものはないかと聞くとただ、俯いて涙をこぼしている。
葛西は、ため息をついた。
「君、名前は?」
ふと視線を足元にやると白くてきめ細やかな肌をした太ももが…
「…菜月…です」
視線に気づいたのか菜月は頬を染めた。
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