妻の死。 医者の言葉は今も耳に残っている。 「余命1年と宣告されてから彼女は二年も生きた。きっと凄く楽しい日々だったんでしょう…病を忘れるほどの。」 複雑だった。 果たしてほんとにそうなのだろうか。 『俺が娘に手を出すと思って安心できなかったんじゃないのか…?』 実際、雅樹が 娘に好意を持っていたのゎ バレバレだった。 …だが… 雅樹は泣き崩れる娘の肩を抱いて 眠るように横たわる妻に誓った。 『梨花は俺が守る。』 『手も絶対出さない。』 『………たぶん。』 『…なるべく。』 『俺…意思よわっ… 』 半泣きで静かに横たわる妻を見ると 「仕方ない人ね」と 笑っているように見えた。 [*前へ][次へ#] |