知ってしまった。
なぜ兄の話になったのかもわからない悠梨はキョトンとするしかなかった。
「……リョウさんとャッたんだろ……」
「………はぃ」
訳が分からず、思考回路が停止する。
「…違うのか」
不安そうに上から見つめてくるヒロに悠梨は腹が立った。
「ヤるわけないじゃんっリョウ兄ゎ悠梨と血のつながったお兄ちゃんなんだよ」
「…ぅ…でも…リョウさんが…」
「ありえない体触られたりとかは普通にあるけどェッチしたことなんかないっ…」
「………………。」
不気味な沈黙が流れるが悠梨としては言い切った気持ちで満足していた。
「体ゎ触らせるのかょ…」
低く震えた声…。
あからさまに怒っているその声に悠梨は何か間違ったことを言ってしまったのだろうか不安になった。
しかし事実を言っただけであって…何も変なことを言ったつもりはない。
上の兄達に幼い頃から体を触られていた悠梨にとって、その行為は普通のことだったからだ。
兄達とは今でも挨拶がわりにキスをする。
テレビを見ている時は兄が後ろから抱きついてきて体を触ってくる。
小学生の頃からそうだった。
お風呂にだって未だに一緒に入っている。
「…まぢかょ……」
眉間にしわをよせて頭を抱えてしまった。
「」
「……兄貴に触られて…感じたりするのかよ」
やっと口を開いたヒロは《怒り》ではなく《興味》を持った表情をしていた。
「感じるわけないじゃぁんただ触ってくるだけなんだもん」
笑いとばす悠梨。
ほんとに感じたことはなかった。
この日…この時
普通ではないんだということを知るまでは。
「…笑うな。触らせんな。」
ヒロの目つきが一瞬にして変わった。
「……ごめん…」
本当に普通じゃないんだと確信してしまった。
と、同時に悲しくなった。
これから、どんな顔をして兄達と接すればいいのか…。
そもそも付き合っていること自体を内緒にしていたのに…
なぜヒロにそんな嘘を
「…きゃ」
考えていると突然ヒロの手がセーラー服のすそを掴み、めくりあげようとしてきた。
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