大好きな人。
「悠梨。」
ミィくんの手が差し伸べられた。
「…っ…ぅ…っ」
安堵感で涙が溢れ出す。
抱き起こされて、
支えられながら
作業用のワゴン車に乗せてもらう。
仕事を抜けて迎えに来てくれた
ミィくんは頭にタオルを巻いて、
タンクトップにニッカを履いていた。
ミィくんの視線が痛い。
汚れた靴下。
強く掴まれて手形がついた手首。
スカーフがしわくちゃになったセーラー服。
腫れ上がった頬。
乱れた姿のまま
泣き続けてた悠梨の頭を
優しく撫でてくれる
ミィくんの大きな手。
何があったのか聞かれたら
全てを話さなければいけなくなる。
嫌われる…。
恐怖に襲われた。
でも何も聞かれなかった。
ただ…優しく撫でる手とは正反対に、
今までに見たことのない、怖い顔をしていた。
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