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要さま(27000hits)
※D灰



要さまに捧ぐ!

title:アクア・ブルー(三人→リナ)





方舟の中、アレン達がこの世界からの出口を捜そうと外に出ようとしたとき、リナリーが「あ…」と声をあげた。

アレン達がその声に振り向くと、思うように動かない足を引きずって、アレン達のほうへ歩いてくるリナリーの姿が視界に入った。



「神田」

「あ?」

と、いつものように不機嫌そうに眉は顰め、それでも声音は優しく神田が答える。

「ラビ」

「ん?」

ヨロヨロと近付いてくるリナリーの身体をラビが支える。

「アレンくん」

「はい?」

アレンはにっこりと笑顔をリナリーに向けた。

名前を呼んで、三人をリナリーは見上げた。今にも涙が落ちそうに、その瞳にゆらゆらとただよう。

「…足手まといになってごめんなさい…」

重たい言葉が、そう紡がれた。


「私が、イノセンスをちゃんと使えていたら…ちゃんと闘えていたら…そうしたら…」


ハラリと透明な雫が落ちた。


「…えぇッ!????」

アレンの叫び声とラビの声がハモった。
神田は静かに溜め息をついた。

「あ、泣かした」

と離れたところにいるクロスが呟いた。

クロスのそんな声も聞こえないかのように、アレン達はリナリーを見つめた。

ポロポロと涙をこぼす姿が、きれいで可愛くて、もっと見つめていたいと思う。けれど、大切な女の子が心を痛めて泣いているのは辛い、そう思った。



「…お前は本当にばかだな…」

神田がリナリーの頭をくしゃりと撫でた。

「…だって…」

リナリーが神田を見上げた。
神田はもう一度、優しくリナリーの頭を撫で、手を離した。

神田は、『俺は優しく慰めるなんてできねぇから、あとはお前らがどうにかしろ』というように、アレンとラビを一瞥した。

「そうさ、リナリー。リナリーが責任を感じることなんてないさ」
ラビが笑顔を向けながら言う。

「ラビ…」

「そうですよ」

アレンがリナリーの白い頬に手を伸ばし、涙を拭う。

「リナリーはちゃんと、僕らと一緒に闘ってくれました」

「アレンくん…」

「リナリーがいたから…"僕は"頑張れたんですよ」

さり気なく一人称をアピールしたアレンに、神田がチッと舌打ちをした。

遠くから「やるじゃねぇか、馬鹿弟子」とクロスの声がする。


『師匠は黙っていて下さい』と背中で語るアレンを見て、ハイハイとクロスは両手を上げた。


「神田」

「あ?」

「ラビ」

「ん?」

「アレンくん」

「はい?」


アレン達を見つめて、リナリーが笑った。

「ありがとう…みんな無事で本当に良かった…」

濡れた瞳、紅く染まった目元で微笑むリナリーが可愛くて、三人の心臓がどくんと高鳴る。

確かに動いた自らの鼓動に、ようやく生き残れたという実感がわいてきた。

「…出口を必ず見つけてきます。早くホームに帰りましょうね」

アレンがそう言うと、リナリーは笑みを深めて、「うん」と答えた。

こんなに小さなやり取りでも、幸せな気持ちで満たしてくれる。そんな君の存在は偉大なんだよ、そうアレンは思った。






君の笑顔を守る為なら

何度でも

生きる為に闘うよ。





end.
2008/04/11


******
アトガキ

要さま!
27000hits!のリク小説でございます。

「リナ受けならなんでも」とのことだったので、三人→リナにしました。

いかがだったでしょうか…。こんなんで、よろしいですか?ドキドキビクビク

この三人から大切にされまくっているリナリーをちょっぴり書けて私は楽しませていただきました!(自己満!?)

素敵なリクをありがとうございました!

これからもよろしくお願い致します。

えぃ。

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