記念物
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あれから数日。
晴翔は僕が許婚であることを公表した。
実はかなり前から知っていた晴翔の親衛隊の方たちは、それを聞いて嬉し泣きしていた。
嬉しいんだけど、恥ずかしい…。
晴翔以外の生徒会メンバーは、役員を降ろされ、親衛隊も強制解散させられた。
今まで、盾の役割をしていた親衛隊がなくなったらどうなるか、そう言って笑った晴翔は本当に黒かった。
風紀委員長は最近見ない。
彼も風紀委員から追放されて、不良クラスに戻されたらしい。
噂だと、不良クラスでありながら美化委員長を務める人のものになったとか…。
絶対幸せになれない、って言われてる。
意味はよくわからない。
それから転入生も見ない。
相変わらず名簿には載ってるんだけど。
これも噂だけど、隠れファンか何かに大切にされてるって話。
これもよくわからない。
「あ、ねぇ…晴翔、」
「うん?」
「昨日、高砂のお医者様に手術の経過見てもらったんだけど、ついに昨日ね…あの…」
「どうした?何かあったのか?」
「えっと…」
今から言うことが恥ずかしくてたまらない。
言いたくないけど、言わないと怒られるし…。
お仕置きはやだし。
「赤ちゃん、産める身体になった、よ…」
「え?」
「だ、だから!えっと…う〜…」
耳かして、って言うと素直に僕の口元まで顔を寄せる晴翔。
「お、女の子の日が来ました…」
「っ!郁流っ!!」
「うわっ!!」
ギュッと抱きしめられ、キスをされた。
朝起きたらシーツが赤くて焦って、僕の身体を作り変えたお医者様を慌てて呼ぶと、初潮が来たのだと言われた。
女の子が1ヶ月に1度なる生理現象だとわかって本当にホッとした。
やっぱり失敗してしまったんじゃないかと心底心配になってたから。
そして、お医者様は言ったんだ。
これでもう安心だ、って。
完全に僕の身体の一部となっている、って。
それはつまり、ちゃんと子供を作ることができるということ。
とても嬉しくて、いち早く晴翔に教えたくて恥ずかしいけど我慢して言ったら、晴翔がすごく喜んでくれた。
それだけで、僕は充分嬉しかった。
「ありがとう…郁流。」
「そ、そんな…僕は自分に出来ることを…」
それにだ。
重要なのはこれからなんだ。
いずれ、僕は晴翔との間に子供を作らなきゃならない。
まだまだスタート地点に立っただけなんだ。
「そうだな。まだまだ、これからだ。幸せになるのは…これからだな。」
「うん!…あ、えっと晴翔…」
「何だ?」
僕は小さな声だけど、そっと大好きな人の耳に届くように言ったんだ。
ーーー大好き…。
「っ、俺も…愛してる。」
恥ずかしいのと嬉しいのとで、きっと僕の顔は真っ赤だろう。
晴翔は揶揄って、リンゴみたいだ、と笑いながら僕のほっぺたに噛み付いた。
もう、本当に恥ずかしいからやめてよっ!
幸せな日々がまた過ぎていく。
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