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記念物
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頑張って、下半身だけは守ろうと必死に抵抗した。
でも、やっぱり多勢に無勢で。



「はーい、尻軽ビッチないくちゃんの大切なとこ、御開帳〜!」

「見ないでぇっ!!!」



押さえられた足はいとも簡単に開かれ、僕の秘密をさらけ出す。



「え?あ…なにこれ??」

「これは」

「ははっ!お前、女でもあんのかよ。」



見られた!見られた!見られた!!!
晴翔と僕だけの秘密。
もうここにはいられない。
嫌だ、助けて…



「うぁぁぁあっ!!晴翔、はるとぉっ!!」



その時だった。
ガァァァンッ!!と大きな音がして、誰かが倒れる音の後、僕の体を温かい腕が抱きしめた。



「郁流…」

「は…はる、と?」

「あぁ…遅くなって悪かった。」


おずおずと抱き締める腕に触れると、さらに強く大丈夫だ、と言うかのようにその腕は締まった。



「ご、ごめん…ね。晴翔、僕…」

「謝んな。郁流は何も悪くねぇよ。」

「お!おい!!晴翔に抱きつくな!!」

「…あ゛?」



静かに低い怒気を含んだ声。
晴翔は怒る時、声を荒げない。
怒りに比例して、静かに低く口数少なくなる。
転入生はお喋りなその口を閉ざした。
空気に重さがあるんだと理解できるほどの怒りが部屋に満ちてる。



「郁流は俺の最愛だ。」

「う、うそだっ!!それに、いくより俺の方が可愛いだろ!?」

「生まれて18年、郁流以外に欲しいものはねぇよ…」



ーーー沈め。



僕を抱えたまま、転入生を蹴り倒した。
言葉すら出ない痛みに蹲る転入生を見て、他の人たちも激昂し、晴翔に飛びかかる…が。



「郁流を傷つけたからには、相応の対応をさせてもらう。」



全て一蹴で沈めてしまった。



「ぐっ…高砂、お前そんなやつの何が、ぐぁっ!」



かろうじて喋れる風紀委員長様が、晴翔に問いかける。



「生まれてからずっと見守ってきた。高校に入って、婚約しろと言われた。俺は長男だからな。子供を作らなきゃならない。そしたら、郁流は言った。僕の身体を産める身体に変えて欲しい、ってな。」



ちょ、バラさなくて良いよっ!
ドンっと胸板を叩くと、旋毛にキスされた。



「俺のためにそこまでしてくれた。リスクだってないわけじゃない。郁流は俺と添うために尽くしてくれた。そこで伸びてる自分が可愛いやつにはできねぇだろ?」



小さい頃からずっとそうだった。
考えるのは晴翔の隣にいるにはどうしたら良いか、って事だけ。
見た目が釣り合わないのは知ってる。
怖かったけど整形しようとも思ったんだ。
でも晴翔が止めたからしなかった。
それなら、他の努力すれば何とかなる部分を必死で延ばした。
その甲斐あって、高校に上がると同時に晴翔から告白されて付き合えることになった。
けど、無い物をこの身体に作るのはとてつもなく身体的にも精神的にも苦痛が伴った。
それでも、晴翔が誰かのものになるくらいなら、その苦痛なんてなんてことはないと思えた。



晴翔のためなら何でもする。
晴翔と一緒にいるためならどんなリスクを冒したって構わない。



「…狂ってる。」



風紀委員長の言葉に、晴翔が柔らかに笑った感じがした。



「可愛いだろ?俺の最愛は…」



最後のひと蹴り、完全に風紀委員長様が沈んだ。



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あきゅろす。
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