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商い物
これは予想外の展開デス
【ノンケのはずな転校生×会長の元恋人平凡】

僕と違って天真爛漫な転校生。
この学園のおかしな事を指摘しては、叩かれて、転校生に惚れたと言う生徒会の皆様や人気者たちに守られている。
それはいい。
別に何も文句はない。



この学園がおかしな事なんて充分知ってるんだ。
親衛隊があることはもちろん、その中から性欲処理の相手を見繕う親衛対象の生徒。
度が過ぎた家柄と顔面重視の付き合い。
同性愛に偏見はないけど、レイプが横行する学び舎。
教師が権力に媚びて生徒に物を言えなくなる傀儡体制。
どれも僕だっておかしいと思っていた。



だけど、会長に惚れて、親衛隊に入って活動してたら会長の恋人に選ばれて、そんなことどうでも良くなってしまった。
会長に良く見られたい。
その一心で、家柄も顔面偏差値も低い僕は、一生懸命勉強して準主席を手にしている。
身体だって少ない生活費の中から、エステメンテナンス費を出して肌に磨きをかけ、ムダ毛処理をした。
会長がやりたい、って言ったことはなんでも叶えた。



…わかってる。
都合のいい愛情を持たなくて済む性欲処理に使われただけの人間だって。
これっぽっちも、愛されてなんかいないって。



だけど、どうしても好きなんだ。
好きで好きで、奪われたくなかったんだ。
だから、転校生に惚れた会長を許せなくて。
お願いだから、別れて。



「うん、わかった。その代わり…」



僕は体育館裏に呼び出した転校生に、怒涛の勢いで胸に溜まっていた言葉を吐き出した。
平均的な身長ではあるものの、北欧の血が流れているのか、綺麗な金髪碧眼を持った人形のような顔の転校生は、切った言葉の先にキスをする。
突然のことにビックリしている僕は、みっともなく泣き叫んだ顔をキョトンとさせてしまう。



「クズなんかじゃなくて、俺が愛しても良いかな?」



呼び出しのことを聞きつけて駆けつけた生徒会役員たち。
けんけんごうごう。
罵声を浴びせられ、萎縮して逃げようとしたら転校生が僕を抱きすくめて、そのまま耳を塞いできた。



「先輩…。俺、言いましたよね。曲がった事が嫌いで、弱いものイジメが嫌い、他者を大切に出来ない奴が一番嫌いです、って。真っ直ぐ想いを吐き出してきたコイツに惚れました。弱者と軽んじられて傷つけられた優しいコイツに惚れました。あんたとはもう金輪際友達にもならないよ、クズ野郎。」



何を言ったのかは、わからなかった。
けど、真っ青な顔をした会長の横を通り過ぎた時、会長から初めてあったかい言葉をもらった。



「今まで、ごめん…。」



それにしても、僕の予想とイメージが違った。
僕の気持ちを伝えたところで、転校生と会長の関係を解消できるなんて思ってなかったし、勝手な言い分に罵倒されると思った。
酷かったら、殴られる覚悟もしていた。



それなのに、何故か転校生に気に入られて、キスされたとようやく自覚できた時には、告白されてYESかOK以外の選択肢を準備してくれてない状況だった。
よくわからないけど、転校生の圧力に負けて付き合うことになったんだけど、それはそれは…



ーーーとても幸せなのです。



成人したら海外挙式の予定だ。


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あきゅろす。
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