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商い物
1 *

小さい頃から本が好きだった。
本を読めば知らない世界に没頭出来たし、親に捨てられた子供と憐れみの目に晒される世界から逃げられた。
独りぼっちの世界でも、苦ではなかった。



蔵書が一番多い高校へ進学した僕は、授業以外の時間はそこで過ごすようになった。
全寮制の男子校で、閉鎖的であるがゆえに放課後は存分に本に親しんだ。
学費や生活費、寮費は慈善活動の一環らしく免除してもらえたのも有難い学校だった。



そんな僕にも友達が出来た。
同じ図書委員会の横田君。
お互い本が好きで、外部進学ということもありすぐ仲良くなった。
横田君は、美少年で天真爛漫な性格をしていて、気づいたら内部進学のクラスメイトともすぐ打ち解けてしまい、内心すごいなぁ…と思ったりもした。
それでも入学早々、一部のクラスメイトから親無しとイジメられる僕にも分け隔てなく接してくれたのだから、本当に良い奴だ。



けど、初めての図書委員の集まりがあった6月頃から、おかしくなった。
元気な姿は減り、少し熱っぽいような…。
体調が悪そうだから、と委員会の仕事も僕が変わるようになった。



「斗真くん、委員長呼んできてもらえない?」

「あ、はい。第3図書室でしたよね?行ってきます。」



僕は、旧校舎にある図書の保管庫である第3図書室へ向かった。
委員長は大体そこにいるらしい。
なんでかは知らない。



「失礼しま…す…っ!?」



ドアを開けて、目を見開いた。
そこには、横田君の姿があった。
けれど、その姿に絶句してしまう。
パイプ椅子に縛り付けられた裸体と、閉じられなくした脚。
下半身をさらけ出して、尻から何本ものコードと太い何かが刺さっていた。
そして、ヒクヒクと痙攣するアソコは、銀色のリングで戒められ、はち切れんばかりなのに何も出せていない。
目隠しと口枷をされ、モーター音の響く倒錯的な空間に、頭が混乱する。



「な、これ…は、外さなきゃ!」

「見つかっちゃったねぇ…」

「ひっ!うわっ!?」



甘ったるい低い委員長の声がしたと思ったと同時に、背後から背中を押されて第3図書室に転がり倒れた。
顔を上げれば、内腿を痙攣させる横田君が眼前にいて、働かない頭をフル回転させてとにかく彼だけでも助けようと手を伸ばした。
が、その手は委員長の秋津先輩によって阻まれてしまう。



「だぁめ。」

「あ、秋津先輩…よこ、横田君が…助けないと!風紀にも連絡して、」

「だぁめ。」

「だって!こんな、酷い」

「本当に?これ、酷い?」



委員長が指差す横田君の姿を再び見て、どう見ても何かしらのイジメでこんな事されてるとしか思えなくて、酷い、と答えると、秋津先輩は中性的な顔を崩して、悪魔のようににんまり笑った。



「じゃあ、本人に聞いてみようか。」



横田君の耳元で、秋津先輩が答えを促して口枷を外す。



「んあっ!あ、きもち、いい、気持ちいいです!お尻の穴、オモチャで気持ちよくなっちゃう!!ふっ、あっ!あき、秋津先輩、おかし、犯して!オレを犯してっ!!めちゃくちゃにしてぇっ!!」

「だぁってぇ…。酷くないでしょ?」

「あ、あ…横田、く…」

「横田君はねぇ、お尻の穴イジメられるのがだぁい好きな変態なの。ほら!」



そう言って、尻に突き刺さった太い棒を抜き差しして、さらに横田君を喘がせる。



「ひぃっ!ぎもぢいい!!ぎもぢいいですぅ!もっと、もっとぉぉぉお!!」



悲鳴のような喘ぎ声に、こちらまでおかしくなりそうで、僕は情けなくもその場を逃げ出してしまった。



〜秋津side〜



走り去った斗真君の背中に視線を送り、煩いオモチャから手を離す。
なんだかんだと煩いから、口枷をはめ直してバイブの電源を入れた。
もうあとは放置していてもメスイキ出来るから、それで十分だろう。
そろそろコレも完成だから、依頼主に引き渡せる。
液体に汚れた指先を、オモチャの着ていた服で拭うと、ボクは再び先ほどまでいた人物の事を思い出す。



やっぱり、ボクはあの子が欲しい。
今まで、調教師としていろんなオモチャ人間を作って来たけど、あの子だけはボク専用にカスタムしたい。



入学式を終えて早々、図書館に来ていた斗真君。
幸せそうな顔でページをめくっている姿を見て、滅茶苦茶にしてやりたいなぁ…と思った。
そして、ある時図鑑を見て指でなぞり、恍惚とした表情を浮かべる顔に欲情した。
あの顔を自分に向けさせたい。
自分だけを見て、あんな反応をさせてみたい。



「逃がさないからね、とーまくん」



恍惚とした表情で、ボクのを愛撫するだけでイってしまうくらい淫乱に変えてあげよう。
ボクそのものがあの子の媚薬になりたい。
そのためにまずは…。


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