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商い物
花のそばにジャノメチョウ 1
【親衛隊総隊長×平凡隊員】

初めまして!僕は大口桐人っていいます!
どこにでもいるような記憶に残りにくい顔の良くも悪くもな僕ですが、高校入学を機に親衛隊に入ることにしました。
理由は中等部でお世話になった料理部の先輩方が多く入隊しているから!
引っ込み思案な僕にも優しくしてくれた先輩がいるなら、きっと大丈夫だろうと思って高等部からはない料理部の代わりに入ろうと思った次第です。



入隊してから、ほとんどの1年生が大まかな規則を覚えると尊敬する人の隊へ、それぞれ散ってしまったのですが、僕の尊敬する人は親衛隊を総括している親衛隊総隊長の花菱和紗総隊長なので、未だ仮親衛隊にいます。



花菱総隊長は、とても綺麗な方です。
サラサラな髪に切れ長の目、細い指…すらりとした手足は精巧な人形のよう。
けれど、決して冷たい人なんかじゃなく、とても思慮深くて、優しいんですよ。
頭も良くて特待模範生でもあるんです。
花菱総隊長は花菱財閥の次男だという事なんですが、特待枠で入学してSクラスに在籍してるんです。
その上、親衛隊のそれぞれの特徴を抑え、上手くまとめているカリスマ的な存在なんです!
それに、他の隊員の方より見た目も家柄も良くない僕にも、優しくしてくれました。
桐人君おはよう、って言われた日は忘れません…。
親衛隊の親衛隊があれば真っ先に花菱総隊長の隊に入隊希望したのに、残念ながら親衛隊隊員には親衛隊を作ってはいけないという規則があるので、まだどこの隊へ行こうか悩んでるフリをしてます。
花菱総隊長のそばにずっといたいなぁ…なんて思ってしまいます。



仮親衛隊の僕は、いろんな隊を体験的にぐるぐる回ってます。
家柄や見た目が重視される中で、僕に向けられる目は温かいものだけではありませんでした。
せめて、僕も何か役に立てないか?と思って毎回お茶会のお菓子を作って持っていくことにしています。
それが割と好評で、最近は温かい目が増えてきた気がします!
美味しい、って言ってもらえるのは僕としてもすごく嬉しいですし。



可愛い隊員の子と歩いていると、よくからかわれますが、僕はめげません!
元料理部の先輩方や、親衛隊の仲間、それに花菱総隊長がいるから。
一度、あまりにも凹みすぎてトイレで泣いてたら、花菱総隊長に見つかってしまいまして…。
僕なんかがいて良い場所じゃないってことは百も承知してる、って言えば、花菱総隊長は君がいなくて良いような場所は、親衛隊の中のどこにもないんだよ?って言ってくれました。
もし、本当にないなら私が作ってあげる、って。
翌日から親衛隊の仲間でも、僕の事を相応しくないと言ってた方が謝りに来てくれた。
絶対に認めない、と言ってた方達だけにビックリしたけど。
今ではかなり可愛がってくれてます。
もうそれこそ、尊敬する人を放ったらかしにするくらい…。
…会長親衛隊隊長と副会長親衛隊隊長、会計親衛隊隊長、風紀委員長親衛隊隊長なんですけど、いいんでしょうか。



そんな訳で、最近は全親衛隊で集まってワイワイしてることの方が多い気がします。
もちろん、尊敬する方々の生活サポートや彼らが欲しそうな情報のリークなど親衛隊の活動もしてますが。



「桐人君、そろそろ入りたい隊は見つかったかい?」



花菱総隊長に紅茶を淹れていると、のらりくらり逃げていた僕を言葉で捕まえに来た。



「あ、えと…」

「大口君は会長親衛隊においでよ!」

「いえいえ、副隊長親衛隊ですね。大切にしますよ?」

「だぁめっ!!おーくんは僕のとこ!!あ、でも心配しないで、会計様の手なんか出させないから!」

「風紀の乱れた隊にはあげれねぇな。大口、守ってやるからうち来いよ?」



タジタジしてしまう…。
皆さんの気持ちはとても嬉しいのだけれど、花菱総隊長のそばに居たくて、離れたくないのだ。



「ふふ、桐人君は大人気だね。そうだなぁ…ひとつの親衛隊に決められないなら特例で、全親衛隊隊員にしちゃおうか?」

「「「「それいい!!」」」」

「では、桐人君は今日から全親衛隊隊員ということでいいね?」

「は、はいっ!」

「やることは変わらない…あ、私の補佐をしてもらおうかな?わりと総隊長って大変なんだよ。」

「ぼ、僕でよければいくらでもお手伝いします!!」

「そう…じゃあ、お願いね。」



にこりと微笑まれ、思わず顔が熱くなる。
…あれ、なんでだ?
火照った頬に疑問を持ちながらも、僕の件は丸く収まった。



まさか、他の隊長や副隊長、隊員達がやっぱり大口君は花菱様のものなんだね〜、なんて言われているとは露ほども思わなかった。




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あきゅろす。
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