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商い物
花嫁修業なうです

鷹司家に来てから始まりましたよ、花嫁修業。
かしこまった儀式名に、内容を推察してたとはいえちょっと不安だったのも事実で…。
まぁ、本当の本当に花嫁修業だったわけなんだけど。
料理に洗濯、作法もやったっけ?
料理も洗濯も孤児院にいた頃、当たり前のようにやってたから、全く苦じゃなかった。
むしろ楽しい。
作法だけはちょっとやったことがなかったから、すぐに足が痺れ始めたりしてかなりつらい…
まぁ、慣れるしかないだろ。
がんばれ、俺。



あと、鷹司家についてより詳しく教えられた。
正直それはどうでもいい。
だって、この話を誰かとすることは嫁いだらもうできなくなるからね。
ふーん、へぇ…そうなんだ〜、ってくらいの感じで聞いてる。
他の5人は妙にキラキラした顔で聞いてたけど。



それから、他にはないと思われる花嫁修業が一つ…。
それは…



「それでは、今宵も始めましょう。各々、しっかりお勤めしてくださいませ。」



夜伽、いわゆるベッドでのいちゃこらについての修業もあったこと。
…が、しかしだ。
初夜の顔合わせをした日、俺の相手は顔を見た瞬間萎えたから帰るわ〜、とマジで帰った。
一応知識だけ入れとけ、と渡された男同士のAVとか慣らすためのアレコレも置いていったが、AVだけは一度見てまとめてゴミの日に捨てた。



「お前、まだ抱かれたことないの?」

「わぁ…かわいそー。」



大きなお世話だ。
と、口々になぜか俺を見下す5人に言われる。
別に男に抱かれたくなんかないし…。



「はっ!こんなやつ抱けるかよ。」



仮にもお前、俺の相手だろうが。
有り難いけどな、手出されなくて…。



そんな訳で、俺の昼の花嫁修業は順調でありますが、夜の花嫁修業は滞っております。
ま、いっか。
宵月様とやらも、俺なんかにそういう気持ちにはなるまい。



さてさて、独り寝の夜も明けまして、今日も元気に昼の修業開始です。
今日のメニューは…



「あー…うん、がんばろ。」



今日は作法。
苦手な正座のお時間でございます…。



茶道と言うものは知っていた。
けれど、実際にやるのは初めてで…。
最初に会った初老の女性は、やはり作法の先生だったんだけれど、本当に所作が美しい。
お茶を立て、俺らに振る舞う。
5人は何ともないようにこなすけれど、やったことのない俺はいつも注意されていた。



「違います。そうではなく、こう!です。よろしいですか?」

「は、はい。」



足が痺れ始めると注意散漫になってくる。
ではもう一度、と先生に促され何度となく怒られながら、正しい方法を身につけた頃にはすっかり足の感覚は麻痺してしまった。



「では、今日は終わりにしましょう。明日、しっかり身についてるかお茶席で確認させていただきます。」



6人でありがとうございました、と頭を下げ、先生が退出されるのを待って動き出す、が…。



「うわっ!!」



すっかり足が麻痺してしまった俺はバランスを崩して倒れてしまった。



「だっさぁーい。」

「よくそれで、ここに来れましたね。本当に六家の代表ともあろうものが…」

「あ、ちょ、やめっ!!」



制止の声も聞かずに、5人の中でも可愛い感じの子が俺の痺れた足をつつく。



「あっ!!やぁっ…っ」



うわぁ…変な声出たよ。
つつく手も止まったので、ギッ!と睨んでやった。
何だか知らんけど、赤い顔して固まってる5人に向かって情けなくなってきた。



「もう、ほっといてください!!」



つつかれた刺激に潤んだ目が視界を歪めるけど、どうでもいい。
ほっといてほしい。
ある程度直ったら勝手に出てくから!



俺の花嫁修業、こんなんでちゃんと終われるか心配になって来たわ…。


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