商い物
お前のそばに… +
【一匹狼不良×平凡】
〜攻め視点〜
屋上で告白した。
同性を好きになるなんて、と悩んだのは1ヶ月くらい。
それが長いのか短いのかはわからない。
しかも相手は、可愛くも美人でもない平凡などこにでもいそうな子。
何がきっかけっていうかというと、屋上でサボる俺に何度となく声をかけてくれたから。
そんな理由でか!?って思うかもしれないけど、高校受験を失敗してもともと不仲だった両親に完全に見放された俺は、まぁいいや…と思いながらも内心、寂しかったのだと思う。
けど、そんなこと表面化することすらできなくて、だんだん真っ当な道を踏み外して不良と呼ばれる類の輩になった。
ケンカは勉強よりセンスがあったのか、かなり強くて今じゃそれなりに名が知られるくらいにはなった。
一時はチームを作りたいと寄ってくる不良もいたけど、完全に染まる気なんてさらさらなかったから、誰かとつるむより独りでいることを選んだ。
不良ともつるまない。
普通の同級生は怖がって近寄らない。
高校2年のクラス替えで、そいつとは同じクラスになった。
隣の席の十人並みな同級生。
そう思ってたら、サボる俺に声をかけてきた。
サボるなら連れてけよ?って…。
ニヤリと思いの外、悪い顔で笑ったそいつを今でも忘れない。
鬱陶しくない程度の付き合い。
俺の寂しさを埋めてくれる丁度いいやつ。
隣にいて当たり前な友達。
嫌われたくない親友。
そして、手放したくない恋人。
出会って半年した頃には恋していた。
意外なことに、告白は受け入れられた。
気持ち悪いと言われるのも覚悟していたのに、肩透かしだった。
充実した日々だった。
正月を一緒に迎え、バレンタインとホワイトデーにお互いプレゼント、なんてイベントもしたっけ?
毎日が楽しくて仕方なかった。
初めて体を重ねた日は笑えるほど緊張してて、お互い震えながら触り合った。
なのに気が付いたら、求め合ってぐっちゃぐちゃになっていたあたり、やっぱり俺たちも男の子だなぁ…なんて笑った。
お前はがっつきすぎだけどな、って腰をさすりながら言うそいつにちょっと罪悪感覚えたけど、大きな幸福感の方が心を占めていた。
「なぁ…お前さ、幽霊って信じる?」
今、そいつは俺のそばに座りながら言う。
「俺さ、今まで信じてなかったけどさ…」
大好きだなぁ…。
この声は俺を幸せにしてくれる。
「これからは信じてみるよ。」
握られた手から僅かにそいつの体温が俺の手に移ってくる。
これも俺を幸福で温めてくれるんだ。
「だってさ…」
ーーーお前、幽霊になってもそばにいるって言ったもんな?
ポタリと顔に落ちてきた涙が頬を滑った。
そして遠くで定期的に成っていた電子音が、鳴り止まなくなった。
俺は死んだ。
待ってろよ…。
すぐ…
………そ ばニ 行く カ ラ ………。
また大好きなやつの顔が見えてくるんだ。
独リジャ寂シイダロ?
俺モ、オ前モ…
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