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商い物
仮婚姻の儀・2日目です

少し身構えていた夜は特に何もなく普通に過ぎていった。
あと、やっぱり急に敬語を外すってのがなかなか出来ないから、徐々に外してくことにした。
うん、院長先生のしつけの賜物だ。



夜は広い浴室の、これまた大きい湯船から窓を開けると空が見えるのだけれど、生憎と曇っていたため、露天風呂気分はまた次回となった。
寝るときも2つ別々の布団だったし、特に変なこともなくおやすみ、って言われたからおやすみなさーい、って返して電気消して、スヤァ…と寝た。
いや〜快眠だね!!



起きたらまだ寝ている宵月様をチラ見して、朝食を作るために静かに寝室を出た。
味噌汁と卵焼き、サラダ、炊きたてご飯で良いかな?
あ、納豆は…ないか。
宵月様に相談してみようかな。



さてと…。
朝食の準備が終わったんで、宵月様を起こしに来てるんだけど。



「宵月様、起きてくださーい。」

「…ん」



起きてくれません。
そろそろ味噌汁が冷めちゃうから、強行手段とってもいいすかねぇ?



「よーづーきーさーま、」

「…るさい……」

「うぉわっ!?」



…これはどういうことでしょう?
肩を揺さぶってたら、腕掴まれて布団の中に引きずり込まれたんだけど。
すみません、俺、抱き枕なんかじゃないんですけど…。
抱き込まれた状態で身動き取れないし、無理に引き込まれたからあまり良い体勢じゃないのでつらい。



「…起きろよ、このヤロ。」



味噌汁冷めるだろうが!!!
はい、強行手段決定。
それでも起きなかったら、冷たい味噌汁を飲ませてやる。



俺はもがもがと藻掻いて、腕から抜け出すと、強行手段…掛布団を引っぺがした。



「っ!?」

「おはようございます、宵月様。」



目を見開いて、ビックリしてる宵月様に向かって挨拶をする。
うん、ちゃんと目が覚めたようだ。
剥いだ掛け布団はしっかり畳んで、押入れに収納し、未だに惚けている宵月様に今日着るために準備していたのであろう服をずずいっと差し出す。



「朝ですよ。惚けてないでちゃんと起きてください。」

「あ、うん…」



服を受け取ったのを見て、俺はリビングに戻る。
その前に振り返って…



「服着たら布団片して来てくださいよ。あったかい朝食用意して待ってるんで。」



布団くらい自分で片せるだろ。
典型的な金持ちの坊ちゃんではないだろうし…。
自分でやれふことは、自分でやってほしい。
孤児院がそういう主義だったから特にね。
お嫁さんがやりそうな事はやるけどさ…。



その日も畑仕事と、家事に追われて気がつけば夜になっていた。


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