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商い物
仮婚姻の儀・1日目です

宵月様のお迎え?によって、迎え入れられた俺は、庵の中を案内してもらった。
本当に2人で生活するにはちょうど良いというか、ピッタリすぎるここは生活しやすそうだ。
和室ばかりではなく、ダイニングキッチンと書斎は洋室っぽかった。
寝室と宵月様の部屋は続きの部屋になってて、畳の香りが心地良い和室だ。



「寝室は一緒だが、寝具はどうしたい?」

「…多分寝相悪くはないですけど、慣れるまでは別々でお願いしたい…かな?」



他の5人は男同士といえど嫁ぐことに抵抗ない感じだったし、同じ布団でも大丈夫だったんだろうけど、俺は夜の修行経験0だからね!
この環境にまず離れさせてください。



「わかった。1人の部屋も欲しい?」

「ん〜、それはいいや。あ、でも一つお願いが…」

「なに?」



多分庭のある方を示しながら、お願いしてみる。
図々しいとか言うなよ?



「庭、を俺の自由にしても良いかな?」

「…庭?外出許可とかではなく?」

「うん、庭。」



外出許可とか、願ったとしても叶えないだろ。
なんかイマイチつかめないなぁ、宵月様。



「いいよ、君にあげる…」



よし、そうと決まれば草むしりしなきゃな!!
ちょっと行儀は悪いけど、料理用の野菜少しもらって、種芋とかの方法で野菜栽培しようかな?



「ねぇ、花総の…」

「はい?」

「僕の朝食まだなんだ…。作ってよ。」

「じゃあ少し待ってて。アレルギーとかは?」

「特にない。」

「はいはいっと…」



メニューは今朝の朝食と同じで良いかな?
量とかはこれから知っていこう。
それより、



「食べる前に寝間着から着替えてきてくださいね〜。」

「…わかった。」



俺は早速とキッチンに立っていたから知らない。
宵月様が少し驚いたような顔をしていたなんて…。



朝食ができる頃には、着替えてきた宵月様がやって来たので、テーブルに朝食を並べ、2人分のお茶を準備すると向かい合った。



「いただきます。」

「召し上がれ。」



俺はゆっくりお茶を飲みながら、作った朝食を摂る男のことを考えた。
和服ではない白いYシャツに黒パンツというシンプルな姿はどこをどう見ても普通の男だ。
イケメンなこと以外は。
5人もの人を壊したような人にはとても思えなかった。
穏やかだし、振る舞いも威張りくさってるわけじゃない。
初日だからかもしれないけれど、わからないなぁ…。
まぁ、あまり構えずにいよう。



「美味しい…」

「それは良かった。お昼はなにが食べたいとかある?」

「なんでもいい。」

「じゃあ、また適当に作りますね!多分12時くらいには出来るようにするんで。」

「それまでなにしてるつもりだ?」

「そりゃ、折角許しをもらえた庭の草むしりですよ。あんな草生えてたら何もできないし…」

「そうか。…ごちそうさま。」

「お粗末様です。」



食器を片付け、庵を見せてもらった時に見かけた倉庫の中にあった軍手とゴミ袋を手に庭へ出る。
ちょっと日差しが強いからタオルも拝借っと…。



そんなに広い庭ではないから、すぐ終わると思った俺がバカだった…。
以外と強い雑草の根とケンカしてたら、あっという間にお昼を作らなきゃいけない時間で、慌てて庵の中へ戻った。
手を洗ってから、メニューを考える。
…炒飯でいいかな。



そして丁度12時頃…。
完成した料理をテーブルに並べて、お茶を準備してると宵月様が来た。
んで、よくわからんが俺の顔を見るなり笑い始めた。
え?なになんなの!?



「まったく、君は…」



戸惑う俺にするりと伸ばされた手は、俺の頬を擦った。



「顔、土ついてるよ?」

「えっ!?あ、もしかして汗拭った時に…。あ、洗ってきます!!先食べててください。」



…心臓、壊れるかと思った。
いや待て、俺。
相手は俺が嫁ぐ男だとしてもよく考えろよ?
同じモノが下半身についてる。
つまり男だ。
その男にときめいてどうするよ!?
あぁぁぁあっ!!俺こんなんでやっていけるのか?



顔の熱を冷ますのと、土を落とすために顔を洗った。
イケメンのずるさを知った気分だ。
深呼吸して、気合い入れにパンッと両手で顔を叩く。



「よし、平常心…平常心…俺も男、相手も男。おけ!」



ダイニングにあたる部屋に戻ると、ぼーっとダイニングから直結している庭を眺める宵月様。
先に食べてていいと言ったのに、待っててくれたようだ。
俺に気がつくとふと笑んだ。



「もう土はついてないよ?」

「うん、付いてないね。…一緒に食べようか?」

「あ、うん…じゃあ」



2人向かい合って、手をあわせる。



「「いただきます。」」



本日2度目のいただきますは、2つの声が重なった。
午後もそんな感じで、宵月様は縁側で本を読んでいた。
タイトルは知らん。


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