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商い物
零夜・宵口ニ

美しい籠の鳥は一夜限りの恋を売る



薄暗がりで恋を売る



青い春など此処にはなく



眩しい光も此処には届かない



鳥がどんなに鳴いたとて



籠から出ては生きられぬ



一夜限りの恋を売り



一夜限りの熱を交わす



朝になれば他人顔



どんな睦言も戯れ言へ変わる



籠の鳥が鳴いている



籠の鳥が泣いている



せめて愛が欲しいと鳴いている



今宵も見世で品定め



美しい鳥を品定め



鳥の心も知らずに一夜の恋を買う


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