うみねこ二次(短編) (ラムダ)壊れた心の拠り所 いったいどれだけ時は過ぎたのだろう。 (私はすでに壊れてしまった) 十年、百年、千年か。 (そんなもの、もう感じない) 私を唯一救ってくれるものを見つけた。 「あなただけは、私を退屈させない」 だけどいつか消えてしまう。何故なら彼女は駒で、人間だから。 (彼女も魔女ならば永遠に…) 私は何度も繰り返す。何度も何度も、時には加減し屈服しないように。 (それは彼女には永遠の地獄と知りながら) だけど、終わりは来てしまった。 「…これで、王手よ」 衰弱しきった瞳は、それでも確かに駒を動かす。私の王に向かって。私の眼前にて駒は己の物語を展開する。 「押し付けられぬ人の業よ!」 私は、負けた。 (嫌、それじゃ…) 私の退屈はまた始まる、そう思った。 (それはまた暗闇の始まり) だけど、彼女は別れの際に言った。 「私も、魔女になるわ」 月まで届くほどの折り紙を折る努力を。猿がデタラメに打ったタイプライターがハムレットを打ち出すほどの奇跡を起こした彼女の一言、それは何よりも私に対しての奇跡だった。 「ええ認めるわ奇跡の魔女」 私を退屈にさせないただ一つの ものが出来た。 (それは私を私とするもの) それはもう私を永遠に楽しませてくれる。 (やっと私は救われるのだ) だからもう離さない。永遠に、永遠に… 「愛してるわ。だから、あなたを永遠に私だけのものに…、ベルン」 [次へ#] [戻る] |