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信じる心(羽入)
僕は、ずっとひとり蚊帳の外だと思っていたのです。
僕は普通の人には見えない存在。
古手神社の巫女である梨花にだけ見える特殊な存在。
だから、みんなが楽しそうにしていても、僕はひとりでした。
僕には話し相手が梨花しかいませんでした。
どんなに話しかけても、音を立てても、気付いてくれる人なんていませんでした。
だから僕は、勘違いをしていたのです。
こんな僕は、みんなの力にはなれないと。
どんなに頑張っても、僕は何の力もないただの人柱。神だ何だと崇められても、僕にはこの忌々しい鎖を断ち切る術は持たないのだと。
けれどそれは違っていたのです。
この世界の悲劇を終わらせるには、僕を含む全員の力がいるということ。
それを気付かせてくれたのは、運命に抗おうとする梨花、そしてみんなの必死な姿でした。
僕は信じられなかったのです。
恐らく100年と同じ季節を巡っていくうち、もうこの世界に幸せな日々が訪れることがないのだと、心のどこかで諦めてしまっていたのです。
そんな弱い自分がいたから、これまでの世界は駄目だったのです。
この世界では何よりも強い意思、信じる心が勝るということに気付きました。
僕はみんなを信じます。
この世界を変えてくれたみんなを。
僕を受け入れてくれたみんなを。
笑顔の絶えない仲間たちを。
(今は明日が来ることがこんなに楽しい)
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