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01

気付いた時にはその場所にいた。

頬をくすぐる優しい風。

柔らかく包み込むような陽射し。

足元には青々とした芝生が広がっていて。

樹齢が分からない程の見事な大樹が、陽射しを木漏れ日に変えては風でサワサワと葉の擦れる音を響かせ。

木々が美しく生い茂り小鳥がさえずり、湖畔は日の光が水面を美しく輝かせている。

それは彼女が今まで見た事がないほど心に感動を与える美しさで、ただ少女は放心したように佇んでいた。







いつまでそうしていただろうか。

何故自分が此処にいるか分からないが、この場所は危ない場所ではなさそうだ。

……夢の世界なのだろうか。

頬を抓り痛みを感じても余りにも実感が伴わず。

なんとなく湖に自分の顔を映した少女は映し出された己の変わらぬ顔にホッとし、湖に手を入れるとゆっくりと動かした。

動かせば浅い底からモアッ…と土が水中に舞い上がっては手を覆い隠し、しばらくするとまた透明度が戻る。

何度かそんなことを続けた少女は、触っているソレが余り冷たくないと知ると靴と靴下を脱いで足を浸し始めた。









「凄い気持ちいい」

ポツリと呟くと、改めて周囲を見回す。

思わず水に入ったものの、今だ彼女は自分の置かれている状況が現実と思えなかった。

透明な水に小魚が彼女の足近くを泳ぐ様や初夏のような柔らかな風、抜けるような蒼天……夢とも思えず、だからといってあまりにも現実離れした美しさにどうしても実感が伴わないのだ。

「……どうなってんの?」

首を傾げたものの何もする事がない少女は、危機感もなく自分の周辺を泳いでいる小魚を追い始めた。

最初は後を付けるだけのものが段々楽しくなってきてバシャバシャと浅瀬を走りはじめる。

と、バシャリと躓いて少女は水中にダイブした。

グッショリと濡れた服は重みを増したが寒くはない。

起き上がった彼女はしばらく自分の格好を見た後笑い始め、どうせ濡れたのだからと気にせず深い腰まで水に浸る場所まで歩き始めた。

その瞳はキラキラと輝いている。





「……何をしているんですか?」





まるで子供のようにはしゃぐ少女に声をかける人物がいた。

驚いて振り返った先には、赤と蒼の瞳を持つ端正な顔の少年が佇んでいた。







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あきゅろす。
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