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02

その日、趣味である幻想散歩をしていた骸は、ある変化に気付いた。

普段この世界は骸の支配下であるのに、この世界にはありえない何ともいえない“色”を感じたのだ。

それは骸の感覚であるのだが、以前それがあった時には今はクロームと名乗っている少女が存在していた。

ということは来訪者でもいるのだろうか。

だがこの世界に入ってくることは余程波長があった者だけだ。

この特殊な世界に入ってこれる者がクローム以外にいるのかと、彼はその“色”の元へと向かった。











彼がいつも行く大樹の傍の湖畔に、明らかに魚が飛び跳ねる音とは違う音が響く。

あれは水の中を歩いている音だ。

気配を消す事もせずその根源に向かった骸の視線の先には、なにやら自分と同じ年くらいの少女の姿がある。

膝まで捲ったジーパンが濡れるのも気にせず、楽し気にバシャバシャと歩いているではないか。

挙げ句転んで全身が濡れても全く気にせず歩き続ける。

視線を水面に向けてるということは魚を追っているのだろうか。

酷くキラキラした瞳で一心不乱に水面を覗いている。

初めてこの場所に来たクロームとは偉い違いだ。

まるで小学生のような様に骸は呆れを含んだ息を吐き、ようやく出た言葉があれだった。













「……何をしているんですか?」

「え?あッ!」

自分と似た年齢の、それも今まで会った事がないような美形な少年を見た少女は驚いたような声を出し、自分が隈無く濡れていたことを思い出したのか、両腕で透けた服を隠し骸に背中を向けた。

一応年頃の女性としての恥じらいもあるのかと何となく思った骸は、けれど興味なさげに口を開く。

「早く上がってきなさい」

「……」

返答も振り返りもしない少女の態度にイラッと来た骸は少し棘のある声を出す。

「そのままそこにいるなら、湖に沈めますよ」

骸の口調に本気を感じたのか少女は慌てて上がる。

それも骸のいる反対側に。

そのまま大樹の後ろに隠れた。

「……」

どんだけなんだと呆気に取られた骸は、仕方ないとばかりに嘆息した。

「このままでは埒もあきませんね。仕方ありません。……ほら、もう服も乾きましたから出て来なさい」






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あきゅろす。
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