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紫の日々
滑稽奇術「神宮」04
※グロ表現アリ※




一通り、潤がいそうな所を回ってはみたが、一向に見つからないし
連絡も取れない。
これは友の連絡を待ったほうがいいか、と創造は思案する。

まったく潤の足取りが掴めない。
無駄に動き回るより、そのほうがいいだろう。
友の事だから、きっと早くて今日の夕方、遅くて明日の夜にはアレが届くはず。
          
それに、その時間帯までちょうど今用事が出来た。


「うふふ、神宮はちょっかい出すのが好きだねぇ〜。 成り上がりの分際で、まぁ暇しないからいいんだけどね」


ひゃは、と笑うとホンの少し右にずれる。
ヒュンと風を切る音が右耳に届く。
地面に刺さっていたのは針。


「総主、が言ぅーに、は偽者らしぃーけど、一応これく、らぃーよける能力、はもってん、だ」


後ろを振り向くと居たのは、腕と顔半分に大きな刺青を持った少年。
その手には何本もの長さと太さの違う針があった。


「でも、確か、に、総主の言っ、たとぉーり弱そぅー、だ」

「ふーん、僕はそんなに弱そう? なはは」

「うん、とって、も弱そぅー」

「なははははひゃははははははっはっはぎゃははははっはひはははははははあははははははひゃっはははっっ!!」


その言葉を聴いた創造はいきなり爆笑する。
壊れたように狂ったように欠落したように楽しそうに呆れたかのように見下しているかのように蔑むようにこれから起こる未来を予測するように過去を振り返るようにこれからする事を笑っているかのように馬鹿にするように只々、笑う。


「あははははははっはははかははははははひゃはひゃはははあっはははははははははひゃははたはははははなははははははははははぎゃはははははっは…まったく傑作だな、いーたん風に言うと戯言かねぇ」

「ぉー前、狂って、る」

「それはどうもどうも誉め言葉をありがとう。 そういえばアンタの名前聞いてなかったなーなんて名前?」

「針陰紫糸(シイン シシ)」


間髪いれずに答える針陰紫糸。
それを聞いた創造はニヤニヤと口角を吊り上げて笑う。


「無駄、な会話、は、此処で、終わり、だ」


針陰紫糸はそれだけ言うとまた何本もの針を次々に投げる凪げる薙げる。
大小様々な針を。
それを見た創造は別に逃げるわけでもなく、ただ其処に立っている。
冷め切った眼で、彼を見ながら。


「これ、で、終了、、だ。 思っ、た通り、弱かった」


彼は目の前にある針の刺さった塊をみて呟く。
どうせ死んでいなくても、針は経穴や色んなツボやそういう場所すべてに刺さっているし中には猛毒が仕込んである針もある。
     
そう思って死んだものだと思った。
前、あいつに三人ほど襲いにいって死んだそうだがきっとまぐれなのだろう。
そう思った。


「針、ねぇ」


聞こえるハズのない声と思っていた声がその場に響いた。
驚きに一瞬眼を見開き、すぐに後ろに振り返る。
事が出来ない、否振り返る事を死んだと思われていた創造がさせないでいた。


「ちょぉぉおおおっとばかし痛かったなぁ、毒とかあるしー」

「ぉー前、全部、の針刺さったの、か」

「刺さったよ、蚊に刺されたぐらい痛かったけどね」

「毒も、あった、ハズ。 総主が、判、断した、お前で、は死ぬはずなのに、なぜ、生、きている」


ひゃははは、と創造は嗤う。
くるり、くるり、と針陰紫糸の針を手の中で弄びながら。


「毒なんて、ただの薬いや、それ以下に僕にとっては等しい。 お前の所の総主とやらが僕の事勝手に判断しただけだろう」


何も映さぬ目で手の中にある針をみる。
それは針陰がなげた中でも一番の猛毒が塗ってある針。


「僕ってさぁ飽き性なんだよね、これ以外と。 だから飽きちゃった」


にっこりと笑みを浮かべる。
純粋な真っ白なそれしか知らぬような笑みを。


「“僕の方に身体をむけろ”」

「!?!?」


創造がそういうと、まるで針陰の身体の主導権がそちらにあるかのようにかってに動く。
否、あると言っていいだろう。


「“すべての武器を地面へ”」


からからと針陰の服から針という針が出て行く。
針以外にもナイフもあった。


「曲識の方法を使ってみるのもいいもんだ、“ひざまづいてこちらに顔を向けろ”」

「な、なんで、体が、かっ、てに動く」

「面倒くさいから教えない」


にっこりとまた笑みを浮かべる。


「今回来たお前は僕の暇つぶしにはならなかったな、どうしようまだ連絡来ないし……」


ぶつぶつと呟き、目の前で体の自由が利かなくなり膝間づいている針陰をあたかもいないかのように呟く。


「お前、何、をした、んだ」

「なは、だから教えないって面倒くさいから。 あんた生かしても殺しても別にどっちでもいいけどさぁ、いや、やっぱ殺しておこう」


創造は、またブツブツと呟く。
今回はすぐに終わったのだが。


「うん、じゃあお前死んどけ。 終焉すら見せる価値のない神宮の誰かさん」


腕を振り上げ、それを針陰に振り下ろした。


「あーあ、どうしよっかなぁ暇つぶし、潤ちゃん居ないし…零りんでも探しに行こうかなぁ」


創造はとぼとぼと道を歩く。
さきほど彼女が居た場所に残っているのは、地面に広がる大量の血液と血肉、内臓、骨、脳髄のみ。

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