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紫の日々
滑稽奇術「神宮」02
「さて、太陽が隠れる白き夜の時……そういえば日食が近いな…」


がさがさ、と物音を立てながら考え事をする。
ちなみに場所は木上だ。


「…まぁ兎も角潤ちゃんに逢わないとなぁ、いーちゃんは今から逢うし」


後、なぜ木上に居るのかと言うといーちゃんを待ち伏せする為だ。
友ちゃんにも会わないとね。


「にしても“神宮”かぁ…僕を殺すとか言ってたけど…」


して、僕を楽しませる事はできるかな?
“アレ”の事を言ったのだからすこしは楽しませてくれるよね?
創造の口は弧を描く、至極楽しそうに至極怒るように至極狂っているかのように。

独り物思いに耽り、にやにやと創造はしていると微かだが確かに見覚え…待ち伏せていた人物が前方から歩いてくる。

軽々しく、結構な高さから飛び降りる。
常人なら骨折ぐらいするだろうが、創造には関係はない。
ある程度の高さまでなら、階段を降りるのと一緒だ。


「いーちゃん」

「創造か、どうした、ぼくにでも用か?」

「んんーいーちゃんこれから用事ある?」



いや別にないけど
ならさぁ〜ちょっちぃ付き合ってにょ
なんじゃそら
いいから、あ、後友っちの家にも連れててくんね?
本当はそっちか
バレタァァアアア!!!?? あのいーちゃんに!
あのってなんだよ! あのって!
まぁまぁ



「とりあえず僕様ちゃんはお腹が減っちゃったんだよ、うにに」

「はぁ…お昼時だし丁度いいか」


いーちゃん素敵!と創造は戯言遣いに飛びつく。
そのたびに何所か疲れた顔をしながら溜息をついていた。

京都府某月某日某曜日…否、曜日だけ明かそう火曜日だ。
ちなみに某カフェに戯言遣いと創造は居た。
ほんとうならばいーちゃんは学校のはずなのだが、今日は午前中だけだったらしい。
学食で食べようかとも思ったが、そんな気分じゃなかったそうだ。


「むぐぐ…いーちゃ…ごく…」


口を忙しなく動かしながら何かを喋ろうと創造はしているらしい。


「分かったから、急がなくてもちゃんと聞くから、まずその口の中身を処理しよう」

「…ごく。 ふぅー口に詰め過ぎちゃったぜ」


によによと笑いながら創造はそう言う。
ちなみにテーブルに乗っている料理は…いーちゃんがペペロンチーノとサラダに水、創造側にはジャンボパフェが二つにケーキが三つ、それに加えてアイスミルクティーのようだ。

このメニューからして創造の料理はデザートばかりで甘党かと思われるが、別に甘党ではない。
本当に唯の気まぐれで今回はなんとなく甘いものだけ食べたかったらしい。


「いーちゃん聞きたいことあんだけど」

「ん?」


トポトポとシロップをどんどんかき混ぜながら創造はミルクティーに入れる。
見ていて気持ち悪くなりそうなほど。


「あんさぁ、太陽が隠れる白き夜っていつの事だと思う?」

「そうだな…太陽が隠れる…白夜かと思うけど、ここは日本だし日食が近いからね。 日食だったりして」

「ふーむ、やっぱ日食かなぁ…いーちゃんにしては冴えてるんだね!! 今日のいーちゃんは…あれ何だっけ?」

「……はぁ」


どうやら創造の相手はやっぱ疲れるようだ。
疲れないで相手が出来るという人が居れば、哀川さんか玖渚ぐらいだろう。


「で、そんな事聞いてきてどうしたんだ?」

「ん、ちょっとね。 なになに気になるお?」


いーちゃんのセクハラ!
何所がセクハラだよ!!

そのあと他愛も無いお喋りをしながらどんどん、テーブル上にあるデザート(創造からすれば昼食なのだが)を創造はどんどん口に入れていく。


「さてはて、食べ終わったことだし僕は満足だい!」

「なんか以外にあっけないというか…」

「だってこれ小s「それは言っちゃだめだろ!」はーい」


ともかく僕を友ちゃんの家に連れて行っておくれよ。
と創造は戯言遣いの背に抱きつくと言う名のタックルを噛ます。

案の定、ぐっと痛みに堪える表情を出したがどうやら創造は気づいていないようだ。
はぁ、とまた溜息をつきながらとぼとぼと歩き出した。

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