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紫の日々
滑稽奇術「神宮」05

只今、黄昏時な午後5時48分。
街中の道をふらふらと危なっかしく創造は歩いていた。
時々何かしらと物にぶつかりそうになっている。

そのとき、創造のポケットが一瞬光る。
と同時に着信をしらせるメロディーが辺りに響いた。


…生まれてくる朝と死んで逝く夜の物語…♪

「あ、友ちゃんかね」


呟くとごそごそとポケットから取り出したのは、携帯電話。
すぐにカパッと開くと慣れない手つきでポチリポチリと押していく。
ちなみに今、眼は眠たいのか半開きだ。
それに体も左右に不自然に揺れている。


「何々…<つーちゃん、はろーなんだね!! つーちゃんに頼まれていた事が出来たから下の住所の場所に行くんだよーうにに。 愛してるよーつーちゃん!!>」


下にクローズしていくと、友の言っていた通り住所が記入されている。
どうやら結構こっから近いみたいだ。


「とりあえず返信…しとこ」


ポチリポチリとまた慣れない手つきでボタンを押し文字を記入していく。
一通り打ち終えると返信ボタンを押し、ケイタイデンワを閉じるとポケットに仕舞う。


「ねむ……」


ぼそりと呟くととぼとぼと、メールに記入されていた場所へとまた覚束ない足取りで向かって行った。

とある京都府某所ホテル。


「んあー眠い…此処ってどこかで見たことあるホテル?」


とりあえず入った。
とりあえず入ったら視界が真っ赤に染まりました。
染まったというか圧迫感が、あ、そうか抱きしめられているのか。

創造はじぃと眼を凝らしながら見上げると、抱きしめていた張本人は…。


「ひっさしぶりだなぁ!! あたしの愛しのつーちゃん!!」

「潤ちゃん?」

「おうよ!」


そう抱きしめていたのはしばらく振りになる哀川潤だった。
それを創造は確認すると、一気に意識が覚醒しパァと笑顔を咲かせた。


「久しぶりだね! 潤ちゃん、元気にしてたかい?」

「元気も何もありあっまてるぜ」

「うふふふ、相変わらずだね」

「あー可愛すぎる!! さすがあたしのつーちゃん!!」

「潤ちゃんも十分可愛いよー」


しばらく似たようなやり取りを続けていると潤が、「おっと忘れるところだった」と言って創造から体を離す。

そして取り出したのは一つの茶封筒。
それには<あいらぶつーちゃん!!>と書かれている。


「これは友からの預かりもんだ」

「おお! 潤ちゃんせんきゅーゆー!!」

「それにしても友に頼みごとってのは珍しいな、どうかしたのか?」

「ん、僕ちょっと潰そうかなと思ってる所があるんだよー」


うふふと笑ってそう告げる創造。
潤はそれを見てまた抱きしめる。


「愛しいあたしのつーちゃんにちょっかいかけてきたやつがいるのか」

「大丈夫だよ、潤ちゃん安心してよ。 明日あたりに潰しに行くし、迷惑かけちゃうけど後処理頼んじゃっていい?」

「ああいいぜ、つーちゃんの頼みはなんでも聞いてやるよ。 あーそれにしても可愛い」


うに、とまた笑顔を浮かべ、「潤ちゃんも可愛いよ」と言う。
どこかこの状況にデジャヴュを感じるが、気にしてはいけない。
しばらく潤が仕事で泣く泣く分かれなければいけないときまで抱きしめていたそうな。




†あとがき
うちの潤さんは紫(主人公)ちゃんを溺愛しています。
毎回会うたびに抱きついているっていうね(^J^)

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