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消えるな、




「セネルさん」

ジェイの呟きにみんなが注目する。

「僕たちが知りたいのは、煌髪人が何をしようとしているか、です」

「そんなことは分かってる」

「メルネスとなったシャーリィさんがやろうとしていること、とも言えますね」



「……なにが言いたいんだよ?」

まるで、他の考えは捨てろというような言葉にそれはおかしいと眉間に皺をよせる。
「分かりませんか?」

見下したみたいに呆れるジェイの態度が俺の神経をさかなでる。


「てめぇ……」
頭にきた俺れがつかみかかろうとしたが、興奮したモーゼスが前にでた。

「ジェー坊!含みのある言い方、やめえ!」
「性分ですから」

いけしゃあしゃあと述べるジェイに眉をひそめると同時に、俺らの意識は飛んだ。





「ここはどこなんだ!?」

辺りを見渡すと、初めて見る光景だった。
「……シャーリィ!!」
セネルがさっそくメルネスを見つけた。
みんなが高い位置にいるメルネスに注目した。
結構な位置にいるので、必死に目をこらすが、すぐにおろ



「……もうひとり、誰かいます」

ジェイの静かな声に目を閉じる。
今、目を開けたら、違う光景が映っているのだろうか。



「あれもメルネスか?」



「……母様、だよ」
俺が、あざ笑うように呟くとみんなが目を丸くする。
母様がゆっくり顔を上げた。
痛みでか歪む顔はやはりまだ幼い。
でかいでかいテルクェスに挟まれる母様は儚く感じる。


「……母様っ!!」

俺が駆け出したと同時に、メルネスは消える。
……でも、まだ母様はいるっ!!

目の前に佇む母様に手を伸ばした。



もう、いなくならないでくれ。
多分、こんな記憶のなかでも母様を見るのは最後だろう。
頼むから、俺の目の前から、消えるな。
幼少の記憶の残像とは全く違う目の光りがないあなた。
でも確かに、あなたは母様だ。



薄らいでいく母様の手を掴む。



「いなく、ならないで!……母様っ!!」
ありったけの声を出し、すがりつく。
少しだけ、母様の手が動いた気がした。
同時に俺の体も透けてくる。



「ちょっと、ロロ!?」

「シの字!?」

「シャイロちゃん!?」

「シャイロ!?」

「シャイロ!早く戻ってこんか!!」

「何してるんですか!?」

「お、おいっ!!」


後ろから駆けつけたセネルが手を伸ばす。俺も手を伸ばすと、セネルの手と触れることなく、すり抜けた。
まじまじと手を見つめ、ばっと顔をあげるとみんなと目があった。






「……ばいばい?」






その瞬間、俺の意識は途絶えた。







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