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僕の使命



「申し訳ないが、今メイドが多くてね。部屋の空きがないんだ。ちょうど君はリオンと同じ歳ぐらいだし、リオンと相室でかまわないかね?」


めでたくリオンの部下になった僕は、ヒューゴ邸に住むことになった。


「なっ!?……ヒューゴ様!」

リオンが少し顔を赤くした。

あれ?なんで、ヒューゴ“様”なんだろう?


「リオン、お前黙っていろ。ハルク殿は男性だろう?何か不詳でも?」

ヒューゴ様はうっすら笑った。
リオンはヒューゴ様を睨みつける。



ドクンっ



うわっ。

なんだろう、なんか、嫌だこの笑い。
なにか裏があるような、よくわからない微笑み。
てゆうか、多分気づいてるな。ヒューゴ様。


「いいえ、僕はかまいません。むしろ一緒が望ましいです。」

僕は、お返しに作りに作った笑顔で、微笑む。
リオンは驚いた顔をしていたが、しばらく僕を見てから下を向いた。



『(リオン、どんまいだ)』


そう呟いたキースの声は聞こえなかった。






「うわぁ!リオンの部屋ひろっ!」

「このくらい普通だろう?」
リオンは不思議そうな顔をした。
嫌味じゃないのかよ……。

『お前んちの何倍だ?』

「20倍くらいっ!」

『ええっ?!どんだけ狭いんですか!?』
シャルは後で隠すとして、さっきからリオンはなんか様子が変。




……僕何かした?




「…ねぇ、リオ「ハルクっっ!!!!」Σね、姉さん!?」


いきなり姉さんが僕の腕を、がしぃっと掴んだ。
姉さん怖い怖い!!リオン引いてるよ!!

「ま、マリアン?」

リオンが青い顔で問い掛けると姉さんはにっこり笑って

「リオン様、ちょぉっとハルクを借りますわね」

そう吐き捨てた。


「ね、姉さん?」

「ハルクちゃん?あなた自分が女の子だって理解してるの?理解しているわよね??」

「ていうか姉さん、その”ハルクちゃん“は2人きりの時だけにして、ね」

僕が苦笑いすると、姉さんは
いいから答えなさい!と目で言っていた。

話しそらそうと思ってたのに。



「い、一応……なん、で?」


僕は怯えながら答えた。


「だったら、な・ん・でリオン様と相室の条件を呑んだのかしら??」

そのことか!
僕は別に気にしないんだけどなぁ。


「……ヒューゴ様、が、嫌だから。」


「ハルクちゃん?」

あの笑顔がいけ好かない。
なにか含んでいて、リオンを傷つける、あの笑顔が。


「僕はリオンの部下だから、リオンを守ることが使命なんだ。」


僕は凛とした声で言って姉さんをみた。




姉さんは驚き、またお母さんのように微笑んだ。





「……まるで、トリスさんのようね」






姉さんの呟きに、久々に聞いた、

僕の大好きだった人の名前に、



心臓が、



跳ねた。





『なぁ、トリスって誰だ?』




キースの問いに答える者はいなかった。






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