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テスト



「リオン様ー?あとどのくらい?」


ここはダリルシェイドの外れ。
魔物が多そうで、さっきからうずうずしてた。

早く戦いたい。
戦うことが大好き。
勝つと、生きてるって実感できるから。


人間相手は無理だけど。


『要するに性格悪いだけじゃないか』

「……心読まないで。キース。」


キースに怒っていると、リオン様が急に止まった。


「ぶっ!!」



だから僕は見事にぶつかってしまった。

「なんでいきなり止まるんだよ!!あれ?リオン様僕より小さいね?」


「っ!?」

リオン様の体が大きく震える


『あ!それは禁句です!』

「うるさい!黙れ!」
リオン様は顔を赤くする。

『コンプレックスらしいな』


「くっ!!いいから黙れ!おい、ハルク、お前にいまからテストを受けてもらう!」

あ、話そらした。
リオン様面白いなぁ。
あれ?テスト?

「なにそれ?」

「まず、ここの魔物50匹倒してもらう」

『坊ちゃん、多すぎやしませんか?』
シャルティエがリオン様に困ったように言う。


「いーよ。シャルティエ。余裕だ」

僕が微笑んで言うと、リオン様は目を見開いた。
きっと僕が諦めると思ったんだろう。
このくらい、大丈夫。



『行くぞ、ハルク』

「うん、キース」



僕は腰から愛刀の黒い刀を抜く。



『「抜刀!」』



そう叫び、キースの気が僕の中に入ってくる。
黄色だった僕の瞳は金色にかがやく。



『さぁ、宴の始まりだ。』

僕の口が勝手に動いて、キースの声がでる。



「イラプション!」

轟々と晶術が発動している間に走り、刀で敵を斬りつける。

『はぁっ!』

よし、五体目。



「っ!?これは…!?」

『キースの能力の一つです。ああやって体に宿るんです。』


「……シャル、僕には疑問が多すぎる。そもそも、キースとは何者なんだ?」


『……僕の幼なじみで、ソーディアンチームの一人で、強さはディムロスと1、2を争うぐらい強いです。
でも、天地戦争の時にハロルドを守って死んでしまった』

「なるほど。その後ハロルドが人格投射したというわけか。」



はい。多分。ハロルドとキースは愛し合っていましたから』


リオン様とシャルティエ、何話しているんだろう?と目をやったとき、僕は目を見開いた。






「リオン様、離れて!!!!」



「っ!!」


僕が叫んだ瞬間。リオン様はシャルティエを抜いたと同時にバックステップした。



「詠唱省略、グレイブ!!」

地面が魔物を貫いた。

「ふ、ぅ。リオン様、気をつけなよ。」


僕は安心して息をついた。


『まだだ!!』


「ぅわっ!」

僕はキースに体を引っ張られる。


「……おい、今何匹倒した?」

「えっと……36くら、いっ!!」

僕は攻撃を受けながら答えた。

「……(たった20分で、か。やはりコイツは筋がいいな。)」


『坊ちゃん?』


「合格だ。僕も手伝おう。」


そう言ってリオン様も応戦してくれる。ちょうど、背中あわせな感じ。



『(坊ちゃんが背中を預けるなんて……。スタンさんのおかげでかわったんだろうな)』


『(やっぱり、人は変われるんだ。)』



「あー……。戦った戦った!
やっぱりリオン様強い!」


「……リオン、でいい。」



リオン様は少し頬を染めて先を歩いた。


あれ?照れてる?
少し心を開いてくれたリオンに
僕は嬉しくなった。


「リオン」


「な、んだ?」

少し顔を赤くして
振り向く

「あははっ」

「なんなんだ全く!速く帰るぞ!」

顔を逸らして速く歩く。
でも、僕がついて来れるように
ゆっくりと。


その姿を見て僕は目を細めた。



今日、リオンは
不器用で優しいことに気づいた。

明日はもっとリオンのいい所を見れますように。











『僕のことはシャルでいいですよ』


「うん、シャル!」


『(あれ!?なんか、かわいい?!)』





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