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拒絶反応
「リオン隊長、大丈夫?」
「……今話しかけるな」
とか言いながら顔が真っ青だよリオン。
僕は笑いを堪えながら、リオンを見る。
さっきボロをだしてしまったから、もういいや、と思い普通に接している。
……リオン隊長と言う呼び方は僕の意地だったりする。
だいたい僕がリオンを置いていった理由は他にあるんだけど。
「ハイデルベルク、か……。僕はいいけどさ、リオン薄着すぎない?」
「何故だ?お前も僕と同じだろ?」
「僕はなれてるからいいの」
『そうなんですか??』
まぁね、と口を開こうとした瞬間、
『ハルクはマリアンがヒューゴ邸に行ってからはハイデルベルク城に住んでいたらしいからな』
「っ!!キース!!!」
キースの馬鹿!余計なことをっ!
僕がキースを制すると、リオンが眉をひそめた。
「ハイデルベルク城だと?何故だ?」
リオンが真っ直ぐ聞くもんだから、僕は素直に答えるしかない。あの綺麗な瞳の前では、嘘なんか通じないだろう。
……リオン顔真っ青だけど。
「…ウッドロウ、の専属メ……!使用人だった」
危うく専属メイドと言いそうになった。
危ない危ない……。
シャルが笑いを堪えてる雰囲気だったが、あえてスルーすることにした。
だから言いたくなかったのに。
それにハイデルベルク城のみんなは僕が女だって知ってるし。
「珍しいな。王子を呼び捨てするなんて」
リオンの尋問のような質問に苦笑いしてしまう。
「ウッドロウは兄のような人だからね」
リオンは弟かな?と呟けば、リオンは少し顔を逸らした。
「僕はお前よりは幾分精神年齢は高いと思うが?」
リオンがフッ、と笑い僕を見下す。
いやいや、リオン隊長。真っ青なのに頬が少し赤いですよ?
『そういえば、ハルクは何歳なんですか?』
「僕?17だったっけ?」
「知らん。僕に聞くな……17だと!?僕より上じゃないか!!」
「そんなに驚くなよ!」
絶対僕より下だと思っていた、と漏らすリオンに少し殺意が芽生える。
ガキっぽいの少し気にしてるのに!!
『いや、リオン。ハルクは以外と、こう……年を感じるぞ?』
「キース!!!??」
それって老けてるって意味ぃぃい!?
「フンッ、コイツのどこが大人だ?ありえん」
そう言うリオンに少しイラッとして、僕は呟いた。
「さっきみたいに笑ってみて?」
「っ!?」
僕が悪戯っぽく笑うと、リオンは顔を赤くする。
さっきみたいに自然に笑う方が、いつもの見下した笑いより断然いいのに。
と、素直に思うぐらい、僕はあの笑顔が好きだけど。
……でもきっと、
姉さんには、“マリアン”には、
もっともっと素敵で
もっともっと優しい笑顔を
見せるんだろう。
分かってるけど。
やっぱり、少し寂しいな。
「……リオン隊長は、さ。姉さんしか信用できない?」
気がついたら口が勝手に動いていた。
「?……なんだ??」
リオンは少し驚いたように眉間に皺を寄せた。
「だからぁ。……僕には、心を開いてくれないの?」
あまりにもストレートすぎる自分の質問に自分自身でも恥ずかしい。
馬鹿だな、僕は。
**********
「……僕は他人とは関わるつもりはない。友情だとか、愛だとか、余計な感情などいらない。邪魔なだけだ。」
自分でそう吐き捨てたくせに、呆れた。
矛盾しているな、と。
マリアンに抱く気持ちは愛、だと思う。
コイツを、ハルクを心配したり、気にかけたり、面白いと思う気持ちは、認めたくはないが恐らく友情と呼ばれるものだろう。
だがコイツに言ったこの言葉は僕の、僕なりの精一杯の拒絶反応なのだろう。
そう思考を巡らせた後、僕はまた後悔した。
コイツの悲しそうな、寂しそうな瞳なのに無理に笑う顔を見たくない、と思う僕なんかきっとどうかしてるんだ。
『……もうすぐハイデルベルクですよ』
そう呟くシャルの声が脳内に響き渡った。
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