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大嫌い



「……リオン!!」



僕が庭に出ると、リオンがぼーっとしていた。

……ああ、姉さんのことかな?


ちょっとムカついて、大声で叫んだ。







「っ!!!!」







びくんっ、とリオンの肩が揺れた。
あれ?僕そんなに大声出してないよ?




びっくりした顔で僕をみるリオン。
顔色が真っ青だ。





「リオン、大丈「僕に触るな!!!」っ??!」



『なっ!?』


『ぼ、坊ちゃん!!?』


心配して、リオンの肩に手を置こうとしたら盛大に払われた。


え、と?
…今の…なに?


ぼんやり手を見つめると少し赤くなっていた。
リオンは僕を真っ直ぐ見ようとしないけど、自分でも驚いた顔をしてた。




「……僕、なに、かした?」

僕が真っ直ぐリオンを見ると、リオンは目を逸らした。







「……しばらく、僕に近づくな」








リオンはそれだけ言うと、背を向けた。



「ちょっ!!リオン、なんで?!……僕ら、友達だよね……?」

ああ、最後の方が自信なかった。
だって、そんな冷たい目をするから。




僕が言うと、リオンは眉間に皺を寄せた。











「僕は、お前のように脳天気で、馴れ馴れしくて、僕の後しか付いてこれないような奴が、大嫌いだ。」






「!!!」



『ぼ、坊ちゃん……』



なにそれ、なにそれ、なにそれ。


僕はリオンが


すごく大好きで



命を賭けて守ろう、ってぐらいに




大切な人なのに。








――プツン。





僕の中で何かが切れた。






「シャル?何故そこにいるんだ?」


『……坊ちゃん』


「……おいハルク、早くシャルを返「シャル、ごめん」……っ!?」



リオンが言い終わる前に、僕はシャルに呟き、リオンにシャルを投げつけた。


「あっ、危ないだろう!……っ!?」


「……」



生まれて初めて人を睨んだ。




リオンが戸惑うはずだ。きっとひどい顔をしてるんだろう。




バサバサと風で髪が舞う。

ああ、煩い。

舞う髪の邪魔さに余計イライラして、耳に髪をかける。



「っ!?」

リオンが驚いた顔をした。
少し俯いたけど、顔が赤かったような気がする。


僕がシャル投げたから怒ってるのかな?



つい、いつもの癖でリオンを観察してしまう自分に呆れる。








大嫌いなんて言われたら



僕も嫌うしかないじゃないか。








僕は口を開く。




「生憎ながら、僕は大好きでした。」





これは、僕の本当の気持ちだから。





「さようなら。リオン隊長」





笑ってやった。
それはそれは中々の作り笑いで。



二言つげ、僕はくるりと回り、マントを翻す。





リオンの見開かれた瞳が綺麗だな、なんて考えた自分なんか大嫌い














コツン、とブーツの跳ねる音が悲しく響いた。












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あきゅろす。
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