短編
弟は血の緒(桂総受け/高落ち?/学パロ/ギャグ)
イライラ。
「多串くーん。気持ち悪くなるからマヨネーズ止めてくれなーい。」
イライライラ。
「多串じゃねぇって何回言ったらわかるんだよ。それにマヨネーズは最高の調味料だ、文句あるならどっかいけ。」
イライライライラ。
「いやいや、そっちがそのキモい赤い蓋したなにかを持ってどっかいってよ。」
イライライライライラ。
「キモくねーよ!てめーがどっか行けばいいだろ。」
ブチン。
「てめーら二人ともどっか行けやー!!!」
俺は興奮気味にはぁはぁと息切れしながら、何故かここにいる奴らを睨む。
「ちょっとちょっとー晋ちゃんってば怖ーい。」
「黙れ白髪天パ。」
こいつの人をバカにしたような態度が昔から嫌いだ。
「何でお前らがここにいるんだよ。どっか行けよバカ共が。」
「いやいやーそうはいかないよねー。だって高杉ってば勝手に抜け駆けするんだもーん。」
こいつは本当に嫌いだ。
普段死んだような面してるくせに、どっか抜け目がない。
「俺のヅラと2人でご飯食べよーったってそうはいかないぜ。」
そういって悪人のように微笑む。
「いつからてめーのもんになったんだよ。」
俺は怒りから青筋を浮かべて、苛立ちを隠しもしない顔をする。
普通の奴ならこんな俺を見たら、すぐに逃げ出すだろう。
だがムカつく事に、そんな事あいつに通用しない。
「ヅラは昔から俺のものなんでーす。だから他の男と2人でご飯なんて許しませーん。」
…殴りてぇ。
どうすればそんな妄想になるんだ。
俺はこいつはもうどうしようもないなって思って、
次は隣にいる奴を睨む。
「で、てめーは何でここにいるんだよ。あぁ?」
「お、俺は、ただ…桂と一緒にご飯食べようかと思って。」
照れて顔を赤くするこいつに、銀時に対するものとは別の怒りがこみ上げる。
「言っとくけどなぁ、てめーらの事なんてヅラは何とも思ってないからな。恋愛対象として見られてないんだよ、諦めてどっか行け。」
もう少しで職員室にプリントを提出し終えたヅラが帰ってきちまうじゃないか。
せっかく久しぶりに2人でご飯を食べられると思ったのに。
こういう事にはするどい同級生に嫌気がする。
「確かに恋愛対象として見られてないよ、でも男としては見られてるからね。」
「はぁ?」
「あいつが高杉に甘いのは、弟としてだから。」
「確かに、弟から恋人には発展しないよな。」
「だろー。その点、俺らはただの男として見られてるから、恋愛に発展すれ事もあるのよー。」
「まぁ、桂よりチビだしな。あいつが弟扱いするのもわかる。」
「晋ちゃんはちょっとシスコンなんですよねー。」
「あんまり姉ちゃんを困らせるんじゃないぞ。」
「良かったら俺のことお兄様と呼んで良いから。晋ちゃんはヅラ取られて寂しいんだよね、今度俺とヅラのデートに付いてきて良いからな。」
「…おい、てめーら…いい加減にしろよな。」
俺は怒りに体が震える。
しかしあいつらはそれでも俺をいじるのを止めない。
普段あんなに仲悪いくせに、こういう時だけ息を合わせる。
「あらー晋ちゃん怒っちゃったー?やっぱり子供ねぇ。」
「そんな簡単に怒るなよ、冗談だろ。」
冗談と言っているが、こいつらは本気だ。
ライバルを1人でも減らしたいんだ。
しかしここまでされて、俺も黙ってるだけなんて出来ない。
出来ればこの技はやりたくなかったが、背に腹は変えられない。。
「…そこまで言うのなら、弟の特権使ってやろうか。」
「「はぁ?」」
2人がアホ面をしてるのを放っておいて、俺は屋上にある壁に手を付ける。
そして壁に向かって思いっきり頭突きする。
当たり前だが、額から血が出る。
2人はなおもアホ面してる。
その瞬間、屋上の扉がガチャっと開いた。
俺は2人を見下したようにニヤリと笑う。
2人は俺の不可解な行動になおも呆然としてる。
「晋助、待たせて悪かったな。」
この不思議な空間に、渦中の桂がやってきた。
そして桂はすぐに俺の異変に気付いた。
「っ?!晋助、その血はどうした?!」
桂はすぐに俺の元に近づく。
本当はこんなことしたくないが、最近になってより一層ウザくなった奴らを牽制するいいチャンスだ。
「桂っ!!!」
俺は桂に思いっきり抱きつく。
あーいい匂いだ。
なんて思ってる暇はない、この害虫共を駆除してたら堪能しよう。
「晋助?」
「…小太郎、あいつらに苛められた。」
銀時と土方の野郎共が固まるのがわかって笑いそうになる。
ここでようやく俺の意図に気付いたあいつらは慌てる。
「こら高杉!嘘付くな!」
「お前が自分でやったんだろ!」
「…そうなのか?晋助。」
心配そうに見てくる桂。
相変わらず常人離れした綺麗な顔に釘付けになる。
「小太郎は…俺の事信じてくれないの?」
小太郎の大好きな甘えた声で言う。
「信じるよ。」
そう言って俺を抱き締める腕を強くする。
「銀時、土方。」
「おい、ヅラ!言っとくが俺らマジで何にもしてないからな!」
「俺らの事も信じてくれ!」
なんて弁解するが、俺に勝てるわけがない。
だってさっきお前らが言ったんだろ?
「銀時、土方。しばらく俺に話し掛けるな。俺は多人数で1人を苛める卑怯者は大嫌いだ。」
小太郎は俺に甘いって。
「行こう、晋助。」
小太郎は俺の手を引いて足早に去ろうとする。
ドアに差し掛かったところで、小太郎に大嫌いと言われてショックを受けてる奴らを見る。
余程ショックだったのか、微動だにしない。
俺はそいつらに向かって、思いっきりニヤリとする。
弟なめんじゃねーよ。
ざまぁみろ、ばーか。
どうやら2人には通じたらしい。
更に悔しい顔を浮かべる。
「「高杉ー!!!」」
屋上には負け犬の遠吠えが響く。
「晋助、また苛められたらすぐ俺に言うんだぞ。俺が守ってやるからな。」
やっぱり小太郎にとって俺は、弟なんだなって改めて確認された。
普段は小太郎に弟扱いされるのはイヤだが、あいつらより俺を優先してくれるのは嬉しい。
ならしばらくはこの特権を使って、小太郎を独り占めしようかな。
「小太郎、邪魔が入ったけど、やっぱり2人っきりになれるとこ行きたい。」
弟だからって油断してる小太郎が悪いんだぜ。
その気になればいつでも襲えるんだからな。
でもせっかくの弟のポジションを手放すのも惜しいし、じわじわと攻めていくか。
「小太郎と2人でご飯食べたい。」
小太郎はいつもはそっけない弟に、珍しく甘えられて上機嫌だ。
しばらくは小太郎が望む、兄弟ごっこに付き合ってやるよ。
だから誰よりも俺を優先しろよな。
Fin
後書き
「弟は血の緒」は、末子は最もかわいいという意味です。
天宮の中では、桂は高杉の事を弟みたいに可愛く思ってます。
でも不良と一緒にいたりして、心配で心配でたまんないんです。
一方高杉は、桂に弟じゃなくつ男として見てもらいたい!
みたいな反抗期中。
銀さんはそれを知ってるけど、やっぱり桂が他の男を甘やかしてるのが気に入らない。
みたいな。
いつも通り妄想爆発ですみません。
読んでくださった方、
ありがとうございました。
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