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短編
(胡蝶楽/銀桂/やきもち/甘甘)
今日はヅラが久しぶりにうちに泊まりに来た。


正直一ヶ月もほっとかれてこっちはたまるもんはちゃんとたまる。
でも浮気もせずに我慢してるなんて、俺って本当にいい男だ。

先にヅラが風呂に入り、今は俺が入ってるとこ。
本当は一緒に入りたかったけど、一応久しぶりなのでいつもはしないムード作りをやってみる。
こうして頭を洗ってる間も、ずっとヅラのことばっか考えてる。俺ももういろいろやばいなって考えるけど、まぇいいかって思うあたりそうとうヤバイな。

俺が風呂から上がったら、神楽は新八の家に連れてってもらったし。
完璧だ。これ異常ないくらい完璧だ。怖いくらい。なんて思いながら愛しい可愛い子が待つ寝室に入る。


俺的には客用の浴衣を着て、布団の上で頬を赤く染めて待ってるのを期待してたんだけど、どうやら今日はめんどくさいことになりそうだ。

何故ならヅラは布団の上で毛布にぐるぐる巻きになっている。
パッと見イモムシみたいだ。また何か暴走してるんだろうな。
めんどくさいと思っても、これを乗り越えなければ甘い夜にはたどり着けそうもない。

俺は意を決してヅラの元に足を進める。イモムシの隣に横になって、声をかける。

「何してんのーヅラー。いい年してそれは何ごっごだよ。」

「ヅラじゃない、桂だ。お前には関係ないだろう。」

「関係なくないよー俺のかわいーヅラちんの様子が変だから心配してるんだろー。」

「ヅラちんじゃない、そして俺はお前のものでもない。」

なんて俺がせっかく機嫌とってやろうと思ってるのに、こいつは可愛くないセリフばかり。
何をそんなに機嫌悪くしているんだ。いつもならほっとくが、俺は一ヶ月も我慢してもう限界。

むしろ今すぐにでも抱きたい。
ぐっちゃぐちゃに愛し合いたい。そのためにも、頑張ろうか。
今はイモムシだけど、殻を割るとそれは綺麗な綺麗な蝶のためにも。


「で、なーんでそんな機嫌わるいのよー。さっきまで神楽たちと楽しそうにしてたじゃないのー。」

「・・・・。」

「小太郎。」


俺が突然名前で呼んだもんだから、ヅラは一瞬ビクッとなった。
その反応に少し嬉しくなった俺は、イモムシに抱きつく。久しぶりの暖かい感覚に下の方がうずく。

このまま毛布を剥ぎ取ってしまおうか、と考えた時、イモムシは高速回転しながらゴロゴロゴローと大きな音を立てて転がっていった。

俺はそれを呆然とした様子で見つめていると、イモムシは壁に当たり「いたっ」と呟いた。
まぁそんな広い部屋じゃないので、そんな勢いよく転がったら当然の結果だろう。
俺はやれやれと言いながらヅラを拾いにいく。
「お前なにがしたいの?」と言ってもあいつは触るなやらほっといてくれなどぶーぶー文句を言う。

俺はそれを軽く無視をしてイモムシをお姫様だっこして布団に運ぶ。
ポンっと放り投げるとギャっと色気のない声が聞こえた。


「いい加減なにに機嫌悪くしてんのか教えろよー。銀さんもうげんかーい。」

なんて言うとあいつはあーとかうーとか言葉にならない声を発している。
もう少し粘れば成虫になりそうだなと考えている時、さっき暴れてたせいもあり毛布がすごく乱れている。

顔は見られたくないらしく、上半身はしっかりガードされているが、下半身はほぼ見えている。
しかも下に来ている浴衣も乱れていて足が丸見えだ。
久しぶりの生足に素直に興奮する。
あー本当こいつ男かよって言いたくなるくらいこいつの足は白くて綺麗でスベスベだ。

俺は我慢できず、手でなでなで触る。

そしたらまだあいつの機嫌は直っていなかったらしく、その綺麗な生足が俺のあごにクリーンヒットした。

痛いよりも身体やらけーなーと思った。女みたいな見た目で、そこらの女より美しい顔、そして綺麗な足なのに、速さと破壊力は抜群だ。
流石はまがりなりにも攘夷の党首様。その体制からのハイキックは見事でした。というわけでもう甘い夜は諦めます。


俺はもうこいつの機嫌が直ることはないと考え、ヅラに背中を向けて寝る。
あいるが隣にいて寝れるわけないが、頭の中の破廉恥な考えを取り払うように頑張る。


しばらくすると、後ろのイモムシがモゾモゾ動いてる気配がした。

「・・・銀時。」

さっきさんざん無視された腹いせに無視をしてみる。

「・・・ぎんときー。」

可愛い声で呼ばれ、振り向きそうになってしまうが変わらず無視を続ける。

するとイモムシは俺の背中に抱きついてきた。
あいつの肌のやわらかい感触や同じシャンプーであるはずなのにいい匂いがする。
あーせっかく煩悩を取り払っていたのにまた興奮してきた。

「ぎんとき・・・ごめん・・・。」

「・・・。」

さっきとは逆の立場になる。
「俺が悪かった・・・ごめん。」

ここでようやく俺は口を開く。

「悪いと思ってんなら、なんで機嫌悪かったか言えよな。」

拒否は許さぬ口調で言う。俺だってここまでされたんだから気になって当然さ。

「いやー・・・そのな・・・」

「うん。」

って言って振り返ろうとしたら、桂はそれを許さなかった。

「いや・・恥ずかしい、から、このままで・・・」

なんていうから本当に気になってきた。

「実はさっきリーダーがな・・・」

俺はあいつに背中を向けたこの姿勢のままでよかったと思った。
何故なら、桂の話を聞いている最中顔がにやついてしまってしょうがない。

こんな顔見られたくない、まるで俺があいつにベタぼれみたいじゃないか・・・。
いやまぁ、ベタぼれだけどよ。


つまり、あいつが言うには。俺が風呂に入っている間に神楽と話していたらしいのだが。
なんのつもりかわからないが神楽は、普段の俺の行動をことこまやかに話していたらしい。


それを聞いていて、なんだ、あれだ、桂は俺と神楽の仲に嫉妬したらしい・・・。


神楽は恐らく良かれと思ってしたんだと思う。普段あまり一緒にいれない俺らのため、
と言うか桂のために。神楽はこいつに懐いているからな。

あんなガキにまでやきもちやくなんてそうとう俺の事好きなんだな、
なんて、気分を良くした俺はもう我慢できなくなって桂を抱きしめた。

「あーもーお前なんでそんな可愛いの?俺をドンだけ夢中にさせたら気が済むんだよコノヤロー。」

「なっ?!どこが可愛いんだ?!どこが?!」

「だって神楽にまでやくなんて、俺のことが好きすぎるーって言ってるようなもんじゃん。」

「なっなななななな・・・///」

なんて言いながら顔を真っ赤に染める。
あーホントかわいーなー。

「お、俺はただ・・」

「ただ?」

「リーダーが・・ぎんときの家族みたいで、いいなぁ・・・って」

だからどこまで俺を魅了すれば気が済むんだこいつは。
これが天然だから本当に困ってしまうんだ。

まぁ久しぶりに会って久しぶりに素直な可愛い恋人に、これまた久しぶりに甘いセリフでもはこうか。



「小太郎、一緒に住もうか。」



あいつの真っ赤な顔を掴んで、漆黒の瞳を見据えて言う。


「家族になってよ。」


ボンって音と共に桂の顔はこれ以上ないくらい真っ赤になった。
しばらく言葉が出てこなかったらしく、鯉みたいにパクパクしていた。
そんなとこも可愛いなんて、本当に俺は頭が可笑しいらしい。

その内、少し冷静になったらしく、ゆっくりとした口調で言った。

「すごく、嬉しいぞ、銀時。しかし、今は、まだ、だめだ。
・・・銀時も、わかっているだろう?」

・ ・・言うと思った。想像通り。

でも、あいつがいいといえば受け入れる覚悟なんていつでも出来ている。

そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、

「でも、もし、よかったら・・・だけど」

桂は消え入りそうな声で呟いた。

「・・・まっていて、くれない、か・・・」


俺は盛大なため息を吐く。
桂は断られると思ったのか、ビクっと体がはねる。

その行動にとても心外だと思った。
お前は何年俺と居るんだ。もう俺の気持ちをさっするくらい出来るだろ。

俺はもう一度ため息を吐くと、桂を思いっきり抱きしめた。

「てゆうか、俺が何十年まってると思ってんの?子供の頃からずっとてめーの帰りをまってんだよ。
今更何年かかろうと、こちとらもうお前以外は受け入れない体になってるんだよ。

わかったら責任取れ、ヅラ。」

あいつは少し震えて泣きそうな声で、

「・・・ヅラじゃない、お前の体の事情もしらん。」

「えーいやいや知らないとは言わせないしー。
ではさっそくお願いします。」

と言いつつ俺はヅラの体を仰向けにして覆いかぶさる。
抵抗がないということは、OKということだろう。


あいつは俺にギュッと抱きついてつぶやいた、

「そういうところが、好き、なんだと思う。」


なんだと思うってなんだよ。って突っ込んで笑いあう。

こいつが好きだから、いつまでも待つよ。
本当はずっと一緒にいたいけど。
我慢してやるよ。我慢してやるから、たまには今日みたいにやきもちやけよ。

俺のこと好きって示せよ。

そしたら、いつまでもお前の帰りを待っていてやるから。


お前が好きな甘いセリフも、たまーにははいてやるから。


「小太郎、俺も、お前のそういうところ、好き、だと思うぜ。」


見つめ合い、また笑いあう。


殻から出てきた蝶はやはりすごく綺麗で、籠に閉じ込めておきたいと思った。

でもやっぱり蝶は空を自由に飛びまわってこそ、綺麗だ。
美しい羽根をはばたかせてこそ、皆を魅了する綺麗な姿になるのだろう。


飛ぶのに疲れたら休みにこいよ。
誰かに捕まりそうになったら、助けに行くから。


だから、
全てが終わった後は俺のところに帰っておいで。




俺の全てをかけて、俺という籠の中であいしてやるから。




Fin

後書き

桂さんが焼きもちやいてると見せかけて、
実は銀さんはもっともっと焼いてました。


帰ってこいっていう表現は、
桂さんは小さい頃から国の事ばかり考えていたので、
銀さんは国に取られたみたいに考えてたんです。
でもヅラのために我慢、
でもヤキモキする。
みたいな複雑な男心なんです。


はい、
完璧妄想すみません。


甘いもの書けてよかったです。
やっぱり2人にはラブラブしてて欲しいですね!


読んでくださった方、
ありがとうございました。

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あきゅろす。
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