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Love!
10.惚れる


最遊記、連載
(名前変換なし)










「あ、あのコレどうぞ!!」


買い物(と言う名のパシリ)中に呼び止められ、赤と青の二人組は振り返った。
一人は意外そうに、もう一人は引きつった笑顔付きで、だ。


「・・・え、もしかして僕?」

「は、はいっ!」

「い、いや、悪いよ。
申し訳ないし・・・」

「全然そんな事ないです!
わ、私も貰ってくれたら本望ですし!!」

「・・・本当にゴメンね、ありがとう。
美味しくいただくよ。」


青の美青年は申し訳なさそうに眉を下げながらも笑みを浮かべて綺麗に包装された箱を受けとると、女の子はその笑みにやられたのかフラッとよろめいて、その後お礼の言葉もそこそこに猛ダッシュで立ち去って行った。
残されたのは青年達と野次馬、そしてチョコ。






―――そう、紙袋にタップリ詰まったチョコである。
申し訳なさそうな笑みから一転して嬉しそうな笑顔でチョコをその袋に入れる青、ソラを見て赤、悟浄は彼の分の買い物袋も持ちながらウンザリとした。


「おたく、あの台詞何回目よ。」

『チョコレートの数とおんなじじゃないのか?』


袋の中の小さいチョコレートの包装紙を片手で器用に剥きながら平然とのたまったソラに悟浄は頬を引きつらせた。
狸だ。
コイツ、鳥と言うより狸が似合うかもしれない。


「つーか有り得ねェだろ!!
何でお前ばっかくれるワケ?!」

『僕に言われたって知らないよ。』


唾が飛んできそうな勢いでまくしたてる悟浄にソラは顔をしかめながら前へ進み始めた。
確かにさっきからソラばかりチョコを貰っている。
このままでは自称・モテる男(他称・エロ河童)の面子が立たないのであろう。


『(・・・つーか、あれは負け惜しみか?)』


だとしたら非常に迷惑である。(自分に罪はない訳だし。)
こうなったら意地でもナンパしてゲットしてやろうと決心している悟浄の隙をついてソラはその場から離れていこうとした、その瞬間だった。


ドン!

『おっと』


急にぶつかってきた女の子をついでに支える。(一番はチョコだ)
すると腹から匂ってきたのは、やけにキツイローズ系の香水。
ああ、香りが移るかも。と思って紙袋を少し上にやった。


『大丈夫ですか?』

「えぇ、平気ですぅ」


軽く押すように離してやると、そこにはキャンディのようなあまったるい声をした目が大きい女性がいた。
口紅、ついていなきゃいーけど。
そう内心で思いながら外面は笑顔でいると、目の前のキャンディ女はその笑顔を崩すような一言を吐き出してきた。


「えっとねぇ。
アタシ、貴方の事好きになっちゃったみたい。


だから、付き合って?」

『・・・・・・はい?』














惚れる(さあ、どうしようか)
正直、男じゃないから
反応にかなり困るんだけど・・・










****


続きまする。

ちなみにこのチョコレートは食糧として悟空に献上予定だったりする。
食費浮くから。








2/8 猫兎

[*Past][Future#]

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