小説
【P】Bath Time (↑続き/ジャクギル子)
Bath Time
ご注意!
ジャクギル子です。
ギル女の子な学園パラレル、続きです。
女体か駄目な方は回れ右で!
「……こんなものかな……?」
バスタブに浮かんだ花弁と室内に満ちた芳香に満足げな表情を浮かべると、ジャックは湯加減を確認していた手をタブから取り出した。
「ギルバート、準備できたよ……」
放課後、生徒会室に向かって以降ご機嫌斜めの恋人をどうにか宥めすかして自室へと連れて帰ったジャックは、現在もご機嫌取りの真っ最中だ。
失念していたジャックが悪いのだが、生徒会室の床に無惨にも投げ捨てられていた己のネクタイを見つけたギルバートは羞恥と怒りに顔を朱に染め、身を震わせることとなったのだ。その後、そんな恋人の姿も可愛いと十分に堪能する間もなく、ギルバートが生徒会室から出ていこうとするのを、ジャックは必死になって止める羽目になっていた。
業務が漸くひと段落した、この週末。
今朝のこともあって、ジャックとしては恋人とゆっくりするつもりだった為、ここでギルバートに逃げられてしまえば、折角の週末計画が水の泡だ。
床に落とされていたネクタイのせいで、昨日の事をまざまざと思い出してしまった為に居たたまれなくなってしまっただろう相変わらず初な恋人の反応に、ジャックの口元は緩むだけだが、緩めっぱなしで本人を逃してしまっては本末転倒。
残務処理も正直ギルバートがいなければ進まないことも事実で、なんとかそれを持ち出してギルバートの逃亡阻止に成功したジャックだったが、その後、寮の自室へ連れ帰るのもまた一苦労だったのだ。それでも、結果的には成功したのだから、問題はない。
「…ありがとう…」
気まずそうな表情で恋人に礼を言いながら、ギルバートがバスルームに現れると、ジャックは柔らかな笑みを浮かべ、ごゆっくりと片目を瞑ると彼女を残してバスルームを後にした。
室内を満たす芳香に、ギルバートは深く息を吸い込むと顔を綻ばせる。
放課後以降苛立っていた気分が、少しずつ落ち着いているのを感じ、ギルバートは僅かに顔を顰めた。
何だかんだこうして恋人のペースに乗せられてしまうことはいつものことで、ギルバートにとっては甚だ嬉しくはない。確かに、やりすぎた感はあるものの、自分がネクタイを見つけた時の恋人の表情は、ギルバートのネクタイの所在を既に知っていたに他ならないものだった。
そして、どうしてそんな所に自分のネクタイが置かれることになったのか、その原因を思い出すことになり、ギルバートが羞恥に死にたくなったのは、全て恋人の責任と言っても良いだろう。
折角、生徒会業務もひと段落した週末で、今朝のこともあり、ギルバートとしてもジャックと共に過ごすことに異存はなかったのだが、場所も考えずに理性を飛ばしてしまった己自身を思いだし、冷静でいられるほどギルバートは大雑把にできていないのだ。
それでも、結果的にこうしてジャックの部屋に来てしまった時点で、ある意味何の言い訳もできないのだが……
「……入ろ……」
ウダウダ考えていてもしょうがないと、ギルバートは手早く制服を脱ぎ、恋人が準備してくれたバスへと身を沈めた。
鼻先まで浸かってしまえば、視線の先に鮮やかな色の薔薇の花弁が映る。いつの間にこれだけの薔薇を用意したのだろうぼんやり考えながら、ギルバートは掌で湯と共に花弁を掬い上げながら、苦笑を浮かべた。
最近忙しかったせいでゆっくりバスに浸かることができなかっただけに、気持ちの良さにギルバートはうっとりと瞳を閉じる。
視界が閉ざされたせいで更に室内を満たす芳香が強まったような気がして、ギルバートは深く息を吸い込んだ。
こんな風に穏やかな気分でバスを楽しめる事など、本当に久し振りの事で、する必要はないことではあるものの、思わず恋人に感謝してしまいそうになる。
「ん……」
凝り固まった身体を解すように伸びをすると同時に、室内へと水音が響きわたった。積み重なった疲労とバスの心地好さから襲ってくる睡魔は抗い難く、ギルバートは落ちてしまった目蓋を押し上げる努力を放棄する。
そんな時、
「……ご機嫌良さそうだね…?」
不意に背後から恋人の声が届いた。
「……え……?ジャッ……??」
転寝をしていたところに突然声を掛けられ、瞬時に反応できないままギルバートが目を開ければ、目尻へとキスの唇を落とされて再び目を閉じる羽目になる。
「ちょっと、失礼するよ……」
「な…に……?」
目蓋の上からのキスにギルバートが目を開けられないでいれば、背後から抱き締められるように腕が回されていた。
「…はー、やっぱり気持ち良いねぇ……」
「ちょっ…ジャック……!?」
ギルバートの目蓋から唇が外された時には、バスの中に入り込んだジャックの腕の中。
「……なかなか出てこないから、この方が時間短縮かなと思ってね…」
目の前にある華奢な白い肩先に軽く歯を立て、ジャックは音を立ててキスを落とした。
「んっ……ジャック……」
湯のせいだけではなく朱に染まった項に、ジャックは目を細めるとギルバートの腰に回した腕に力を入れる。
「大丈夫。此処でしないよ。前みたいに、逆上せたら良くないからね……」
笑いを含んだ恋人の声音に、漸く頭がはっきりしてきたギルバートは眉根を寄せ、顔を背後へと向けた。
「……お気遣い、ありがとうございます……」
「可愛い君の為だから……っっ」
ジャックに最後まで言わせず、ギルバートは恋人の唇を己のソレで塞いでしまう。珍しく自分から仕掛けてきたキスに僅かに緩んだジャックの腕の中で、ギルバートは身体を反転させると不機嫌な表情を隠さないまま、勝手にバスに侵入してくれた恋人と視線を合わせた。
「……ギルバート……?」
「サプライズのお礼は、しないとね……」
どうして自分が不機嫌かが理解できていない恋人に、ギルバートはにっこり微笑むと、再びキスの唇を重ねる。
「……っっ!?」
触れるキスを重ねていけば、ジャックの呼吸が一瞬止まった。その反応にギルバートは口角を引き上げると、キスの唇を滑らせ、顎を軽く吸い上げる。
「……ギル……?」
「シー」
自分の意図に気づいたのだろうが、それでも戸惑いを含んだ視線を向けてくるジャックに、ギルバートは指で唇を押さえると、酷く楽しげな笑みを浮かべた。
「……っふ…………ん……」
浅く短い息を吐く恋人の胸元へとキスの唇を落としていきながら、ギルバートは己の手の中にあるジャック自身がすっかり堅くなっていることを確認すると、唇を離し視線を恋人へと向ける。
普段は自分が翻弄される事が多い為、こんな風に追いつめられた表情の恋人の顔を見ることは殆ど初めてに近く、ギルバートはその艶っぽさに、思わず見惚れてしまっていた。
「……ギルバート……」
自分を見つめるギルバートの視線に気づき、ジャックは苦笑を浮かべると緩慢な動作でギルバートの首へと己の腕を回そうとするが、
「だ〜め。今日は俺がスルって、さっき、言った……」
ぱしりと音を立ててジャックの手を振り払うと、湯の中でも熱さを感じさせるジャックの先端へと軽く爪を立てる。
「……っっぎるっ」
突然の刺激に限界の近いジャックは、切羽詰まったような声音で恋人を呼ぶが、恋人は柔らかな笑みを浮かべると、空いた方の手でジャックの頬を撫で上げた。
「……イキたい……?」
根本を押さえ込んだ状態で、唇を耳元へと押し当て、舌で耳朶を擽れば、ジャックの唇から吐息が零れる。
「…イキたいよ……」
自分から恋人に触れることは許されないが、恋人からの接触に、ジャックは苦笑することしかできなかった。
多分わざとであろう焦らすような恋人からの接触に、本音を言えば力尽くで好きにしてしまいたいところだが、そうそう積極的に動いてくることのない、恋人からの行為にジャックとしては楽しんでしまうことを選択せざるを得ない。
しかも、彼女がこんな行動を起こした要因は、以前自分がバスでギルバートをの逆上せさせてしまった事だろう事は明白で、先刻の失言によって不機嫌になった恋人の機嫌取りは、折角の週末プランを考えれば必須のことだ。
それに、ジャックとしても考えがない訳ではない。
情欲に掠れた恋人の声音に、ギルバートは己の背にゾクリとしたものが走るのを気づかぬ振りで、小さく頷くと浅く呼吸を繰り返す唇へと己のソレを重ねていった。
すっかり熱くなっている口内へと舌を入り込ませ、大人しくしているジャックのソレへと絡ませる。
ピクピクと己の手の中で反応を返すジャックを、ギルバートはキスを楽しみながら追い上げていった。
「……っっ!」
程なくして掌に吐き出された熱に、ギルバートがジャックの口内を解放すれば、瞳を閉ざしぐったりとバスにもたれ掛かる恋人の姿。
「……え…?ジャック……!?」
ダラリと四肢を湯の中に投げ出しているジャックに、ギルバートはやりすぎたと、慌ててジャックの首を抱き起こすようにして軽く頬を叩いた。
「ジャック!…やだ……ジャック、大丈夫……?」
以前自分にしでかしてくれたことに対して全く反省していないように見えた恋人への意趣返しのつもりではあったものの、まさか同じように逆上せさせる気などギルバートには全くなかったのだ。
ぐったりとして意識をなくしてしまっている恋人を前に、ギルバートは頭が真っ白になってしまい、どうして良いか判らないまま必死になって恋人の名前を呼ぶ。
「…取り敢えず…冷やさなきゃ……」
此処で取り乱してもしょうがないと、漸く冷静さを取り戻してきたギルバートは、抱き寄せていたジャックの頭をそっとバスの端に戻し、立ち上がろうとした瞬間、
「え……!?」
突然腕を捕まれたと思った瞬間、再びジャックの腕の中へと戻されていた。
一体何が起こったのか判らないまま唇を塞がれ、逃れようとしても首筋を押さえられ、舌を絡め取られてしまう。
「……っん……っっ」
突然のことに反応できないでいるギルバートを良いことに、ジャックは華奢な身体を自分に押しつけるように抱き寄せながら空いた方の手でしなやかな背を撫で下ろしていった。
「っふ……っん……」
長くなるキスに吐息を漏らす恋人の唇を漸く解放し、喘ぐように肩で息をするギルバートの額へとキスを落とす。
「ね……したい……」
焦点の甘い金がぼんやりと自分の姿を映すのに、満足そうな笑みを浮かべ、ジャックは甘ったれた子供が強請るように言葉を紡いだ。
呼吸を奪われるようなキスに、未だ頭が働かないギルバートは一体何をと、ぼんやりと考えていれば、悪戯な恋人の指が、背中から双丘を伝ってギルバートの秘部を擽る。
「っは……っな……んっっ」
湯ではないぬるりとしたモノが指先に触れるのに、ジャックは朱に染まった恋人の耳朶へと唇を触れさせた。
「……だめ……?」
恋人の身体がすっかり熱を持ってしまっていることを判っていながら、敢えて答えを求めるジャックに、ギルバートは拗ねたように唇を尖らせると、恋人の肩口へと顔を埋めてしまう。
「……ばか……」
小さく呟かれた言葉は、それでもジャックの耳に入り、しっかりその言葉の意図を汲み取ると、しっとりと濡れた癖毛が張り付く額へとキスを落とした。
「……あっ……やっ……お湯がっっ……はいって……」
既にとろとろにとろけているギルバートの後口へと指を挿し入れれば、普段よりも熱いナカにジャックは苦笑を浮かべる。柔らかい内壁の感触に早く自身を突き立てたくなる衝動を堪えながら、ジャックは本数を増やしていった。
「……ジャッ…ク……」
吐息と共に自分の名を耳元で呼ばれ、限界がくる。
ジャックはギルバートのナカから指を抜くと、そのまま恋人の細い腰を支え、熱い内壁へと押し入った。
「……っっあぁっっ……っふぅ……」
自分の肩を掴む恋人の指先に力がこもるのに、ジャックは俯いてしまっているギルバートの顔を上げさせると、すっかり紅く染まってしまっている目尻から頬へとキスの唇を落としていく。
自身に絡みついてくるギルバートのナカに、それだけでイってしまいそうになるのを堪え、ジャックは浅い呼吸を繰り返す恋人の唇を塞いだ。
口内も絡む舌も、全てが熱い。
「…ん………っっ……」
半ば強引なキスに恋人の意識がそちらに向くと同時に、僅かだがジャックを包み込む力が緩む。その瞬間を逃さずに、ジャックはギルバートの細腰を引き寄せた。
「っっ!!」
自重のせいもあって、恋人を深く受け入れることになったギルバートは、衝撃にジャックの肩口へと爪を立てることになっていた。
「っはぁ……すっごく、気持ち良い……」
ピリリと肩に走った痛みにジャックは僅かに眉を顰めたものの、満足そうな吐息を吐き出す。
「……っばかぁっっ」
いつもよりも深い場所で恋人を感じることになり、その上満足そうなジャックの表情を目の当たりにし、ギルバートは半泣き状態だ。上気した顔に涙の皮膜に包まれた金の瞳が、更に自分のことを煽ってくれると言うことをいい加減ギルバートは学ぶべきだと、ジャックは心の中で呟く。
普段の彼女からは想像できない壮絶な艶気を放つこの姿を目にすることが出きるのは、自分以外はいないのだという事実は、いつだってジャックを優越感に浸らせてくれた。
「…っ誰が、馬鹿だって……?」
緩んだ表情のまま言ったところで、楽しんでいるようにしか見えないジャックの言葉と共に、腰を動かされギルバートはジャックに縋りつく事しか出来ない。
「っやぁっっ……あつ…い…っっ」
肩口に置かれていたギルバートの手は、いつの間にかジャックの首へと回されていた。
更に密着することになったせいで、自身の胸に触れる柔らかな感触の心地好さを感じながら、ジャックは宥めるように滑らかなギルバートの背を撫で上げる。
「ひゃぅっ……やっ……ジャック……」
ヒクリと肩を震わせる恋人に、ジャックは口角を引き上げると
「うん……私、も……」
情けなくも掠れてしまう声音は、恋人の耳には入らないまま、ジャックは大きく腰をグラインドさせた。
「っっあぁっっ」
「っく……」
恋人の最奥へと欲望を叩きつけると同時に、華奢な身体が自分の腕の中で大きく震えるのに、ジャックはバスタブに全身を凭れさせながら、自分の腕の中に沈み込んでいるギルバートを抱き寄せる。
「ギルバート?」
浅く呼吸を繰り返す恋人の肢体がピクリとも動かないことに、慌ててジャックはその名を呼ぶが、ギルバートからは応えはなかった。瞬間、ジャックの顔から一気に血の気が引く。
「ギルバート!?」
すっかり力の抜けてしまっているギルバートの肩を掴んで軽く揺すってみるが、全く反応はなかった。
「やばっっ」
再び自分の身体でギルバートの身体を支えながら、全く同じ事をしでかしたのはいつ振りだったかと、ジャックは過去を反芻する。
学習能力がなさすぎだ。
「ごめんね、ギルバート…」
でも、艶っぽいギルバートがいけないと言う言葉は飲み込んで、ジャックは紅潮した頬へと唇を触れさせた。
簡易キッチンにある冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、ベッドサイドへ戻る。
全身から熱が引かない恋人の額にヒエピタを張り付け、持ってきたミネラルウォーターを口に含むとそのままジャックはギルバートへの唇へと己のソレを重ねた。
ゆっくり恋人へと水を移していけば、小さくギルバートの喉が鳴るのを確認し、ジャックは唇を離すと小さく溜息を吐く。
すっかり逆上せてしまった恋人を見つめながら、目が覚めた瞬間の彼女を怒りを思わずにはいられない。
自業自得と言われればそれまでではあるものの、折角の休日、恋人といちゃいちゃ過ごす計画が流れないことを、願わずにはいられないジャックだった。
FIN
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