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夏夜乃さま
「一希くんは、一つの希望、なんや」


ふっと、思い出したように、そう話す瑞垣。
急に言われて何のことかわからなかった。



「は?」


「やから、一希って一つの希望って書くやろ」


「あぁ…」



そういうことか。



「そうじゃけど…どした?」


「ん?や、ほんま質のわりぃっつーかおまえらしいというか…」


「はぁ?」



やっぱり、こいつは宇宙人なんだ。
なにを言おうとしてるか全くわからない。
それは少し、寂しいけど。



「希望が一番質がわるい」


「…そうか?」


「そうや。希望がみえたと想えば、すぐ突き放す。魔性の女みたい」



くくっと笑う瑞垣は多分、野球と、門脇のことを言っている。おれでは、ない。

こいつは、希望に、裏切られたのだろうか。

おれも裏切ると想ってる?裏切る、ウラギル、うらぎる。
裏切るって、なに?だれを?どうやって?どうして?
おれとおまえの関係なんて、脆いのに?すぐ崩れるのに、裏切って欲しくない、なんて言うの?

…きみは、残酷だ



「裏切らんよ」



おれに嘘、つかせる。



「は?」


「おれは、おまえを、裏切らん」



そう言うと、瑞垣はなにも言わずおれをみた。
おれはため息とともにゆっくり目を閉じた。




希望は、一番、質が悪いけど。
手放せない、信じてしまう、何度裏切られても。


「一希ちゃん」



ぎゅって、抱き着かれる。
ゆっくり目を開ける。

おれは、今、どんな顔をしているのだろう?
瑞垣は、今、なにを…



「…あったかい」



瑞垣がそうつぶやいたのを、おれは一生わすれられなくなることを知った。




夏夜乃さまからフリーテキストをいただいてまいりました!
何度もすみません、美味しくいただいています!←
有難うございました

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