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03

破れたのは俺のシャツだった。
なんで今日、シャツなんて破れやすいものを着てきたんだろう、と脳の片隅で呟いた。


「まあ鬼塚天馬を手玉に取るくれぇだしな、楽しませてくれや」


意識が一瞬飛んだ。
いったい、何をされた?

露出している首と鎖骨あたりをねっとりとした舌で舐められたのだ。
瞬間、ぞくりと体に何が這いずり回ったかのような、深い嫌悪感に襲われた。

気持ち悪い。



「い、嫌だ……嫌だ!!俺に触るなよ!」


男同士のそういった行為については知っていたし、不本意不可抗力だけど見たこともあった。

でも、テレビ越しにそれを見るのと、自分ヤられるのでは立場があまりに違いすぎる。


必死に手足をバタつかせたり押したりして抵抗する。好きでもない男にヤられるのと殴られるのでは、殴られる方が良いに決まってる。


「うるせえ!!黙ってヤられてろ!……おい!誰かこいつの腕、固定しとけっ」


い、と四肢の自由を奪われる。怖い、怖いよ。


天馬先輩、助けて…











秋人が襲われた二十分後ほど、秋人の家の近くにある日本庭園と呼べるような庭を持つ屋敷の前に少女が佇んでいた。


「姉ちゃんっ」

その少女を呼んだのであろう身長が高く、赤い髪を上げている少年が屋敷の玄関から少女に向かって走ってきた。


「大地、どうかした?」

ハアハア、と息を整える大地という名の少年をふんわり見守りながら優しく言った。
姉弟なのだろう。とてもアンバランスだけれど。


「で、電話!翼からっ」

「よっくんから?」


ずい、と大地が差し出したのは電話の子機でそれを少女が大地の手から驚いたように取った。


「よっくん?どうかしたの?」

『小町姉さあ、いつも言ってるけどよっくんてのは……じゃなくて!大変なんだよっ』

翼と呼ばれる少年は少女の事を小町姉と呼んだ。だが、大地と同じように姉弟ではなく、幼なじみである。

小町は大地と同じように焦っている翼を宥めるかのような声音で言った。


「はいはい、で何が大変な事なの?」


いまだに焦っている翼は電話越しで深呼吸をしてから言った。


『アキ兄ちゃんが、アキ兄ちゃんが、ヤンキーみたいな男たちに気絶させられて連れてかれちゃったらしいんだよ!』





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あきゅろす。
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