02 眩しい橙色が辺りを侵食していく。 影が面白いほどよく延びて思わず笑ってしまう。 今の時間帯は人通りが少ないとは言えず、部活帰りであろう体操服姿の学生や犬の散歩なんかをしている人が数人確認出来るほどだ。 だから気づかなかった。 突然、背中にビリリリッと電流が流れたかのような衝撃が走った。いや、流れたのだ。 「な、に…」 くらくらする意識を保ちながら背後にいるであろう人を睨み付けた。 そこには派手でこの和やかな橙色があまりにも似合わなさすぎる男たち、十人ほどが立っていた。 「サイトウアキヒトくんだよね?連行しまーす」 そう間抜けな声を出して真ん中にいた男が俺の腹に蹴りを入れた。 ブラックアウト。 目を覚ますと冷たいコンクリートの上に横向きに寝転がっていた。手を動かそうにも後ろで縛られているらしく動かせなかった。 なんで、俺は…そう思い記憶を辿った。 ああ、たしか知らない男に襲われたんだっけ。 原因は多分、天馬先輩、かな。 辺りを見回したが真っ暗で何も見えず少し焦ったが、雲に隠れていた月が顔を出し、光がその空間を淡く照らし出した。 どうやら倉庫のようで、上の高い窓から見るにはもう襲われてから一時間は経っているみたいだ。 「怖い……」 冷たさのせいもあるが、やはり暗くて広い空間にいて、自由がきかないとなればじわじわと恐怖感襲ってくる。 空を見つめて無心になれば、少しは恐怖感が薄れたような気がした。 それから数分後、倉庫のドアであろう所が音をたてて開いた。 「コンバンワー」 「アキヒトくーん」 ギャハハと下品な笑い声をあげて倉庫の中に入ってきたのは明らかに敵と思われる音、十人。 「あんたら…ここはどこだよ!離せよっ」 ぐい、と固いコンクリートに押し付けられる。 抵抗しようとした瞬間、ビリッと何かが破れた音がした。 [前へ] [次へ] [戻る] |